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01/02/2014

【演劇】2013年の10本

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2013年度 演劇 今年の10本


順位は付けず、見た順番に10本。


FUKAIPRODUCE羽衣『サロメvsヨカナーン』
劇団チョコレートケーキ『熱狂』『親愛なる我が総統』『あの記憶の記録』
庭劇団ペニノ『大きなトランクの中の箱』
FUKAIPRODUCE羽衣『Still on a roll』
ミナモザ『彼らの敵』
劇団桟敷童子『鬼灯町鬼灯通り三丁目』
演劇集団円『夏ノ箱船』
劇団チョコレートケーキ『起て、飢えたる者よ』
てがみ座『地を渡る舟』
劇団チョコレートケーキ『治天ノ君』


今年は以前見たことのある再演作品に別格的な傑作が多かった。具体的に上げると、ハイバイ『て』、てがみ座『空のハモニカ』、サイモン・マクバーニー演出『春琴』、KUDAN Project『真夜中の弥次さん喜多さん』の4本だ。これらを普通に今年の作品として数えたら、4本とも今年の10本に入ってしまい、その分純然たる新作が落ちてしまう。それはさすがに問題があると言うことで、この4本は番外として、今年初めて見た作品だけを選んだ。

一つズルをしている。劇団チョコレートケーキのナチス3部作『熱狂』『親愛なる我が総統』『あの記憶の記録』を1本に数えていることだ。しかしこの3本を一日で連続した見たことで、「観賞」が一つの「体験」にまで高められ、1+1+1が3ではなく5にも6にもなっていた。これを別々の日に1本ずつ見ていたら、個々のクオリティは同じでも、あのような特別な体験とはならなかったはずだ。あくまでも個人にとっての10本であることを考えれば、やはりナチス3部作をまとめて一つの作品とみなすのが正しい。
その3部作の他に、9月の『起て、飢えたる者よ』、12月の『治天ノ君』と、上演された全作品が10本に入った劇団チョコレートケーキ。やはり2013年の演劇は「劇団チョコレートケーキの年」だった。ナチス、浅間山荘、大正天皇というシリアスな題材を、観念的にならず、優れた人間ドラマとして描き出す彼らは、小劇場界の台風の目だ。来年のさらなる飛躍を楽しみにしている。

しかしどうしても「今年の1本」を選ぶことになれば、てがみ座の『地を渡る舟』を推す。今年再演された『空のハモニカ』は名作だが、『乱歩の恋文』『青のはて』にはあまり感心せず、『空のハモニカ』は紛れ当たりだったのでは…と疑っていただけに、本作の突き抜けた完成度には仰天した。彫りの深い人間ドラマと社会的なテーマと大河ロマンとしての魅力を併せ持った、文句無しの名作。再演を強く希望する。

劇団チョコレートケーキの西尾友樹が主演したミナモザ『彼らの敵』も、チョコレートケーキに勝るとも劣らぬ社会派ドラマの傑作。ミナモザの瀬戸山美咲、チョコレートケーキの古川健+日澤雄介、てがみ座の長田育恵など、今の30代の演劇人には、社会的なテーマを優れた人間ドラマとして描くことに長けた人が並んでいて、頼もしい限りだ。ミナモザは本作の上演の合間に、『ファミリアー』というリーディング劇も上演していて、そちらも素晴らしいの一語に尽きる。

大好きなFUKAIPRODUCE羽衣は今年も絶好調。一般的に評価が高かった『サロメvsヨカナーン』はもちろんだが、『Still on a roll』の奇妙ないびつさが大好き。前者には「サロメvsヨカナーン(通称 ゾロ目の歌)」、後者には「愛の花」という決定的名曲があり、それだけで普通の芝居1本分の感動が凝縮されている。羽衣よりも出来の良い芝居、羽衣よりも感動的な芝居はいくらでもあるが、羽衣ほど見ていて幸せな気持ちになれる芝居は他に無い。

劇団桟敷童子は、5月の本公演『風撃ち』は凡作。ところが7月の番外公演『鬼灯町鬼灯通り三丁目』が、桟敷童子史上5本の指に入るかどうかと言う傑作だった。そして東憲司が演劇集団円で脚本・演出を手がけた『夏ノ箱船』がまた息を呑むほど素晴らしく、いささか倒錯的な感想だが、初めて桟敷童子を見た時の感動を思い出した。本の内容は桟敷童子の王道だが、最高の出来と言うわけではない。ところがそれを桟敷童子のメンバーではなく円の役者がやることで、こんなに新鮮な感動を得られるのかという驚き。10本には入らなかったが、11月の本公演『紅小僧』も見事な作品だった。

庭劇団ペニノ『大きなトランクの中の箱』は、はこぶねシリーズの集大成。あの渋谷のマンションならではの怪しさ・いかがわしさが薄れたのは残念だが、アートと変態の間を行き来する作風はやはり魅力的だ。

一応10本選んではみたものの、「この作品が10本に入らないのか!」と信じられない思いを抱く作品が何本も落ちている。以下、タイトルだけ上げておく。

イキウメ『獣の柱 まとめ*図書館的人生(下)』
クロード・レジ演出『室内』
ミナモザ リーディング劇『ファミリアー』
葛河思潮社『冒した者』
木ノ下歌舞伎『東海道四谷怪談』
劇団桟敷童子『紅小僧』
宮城聰演出『忠臣蔵』
新国立劇場演劇研修所第7期生試演会『華々しき一族』
業 朗読演奏会『六花』『狢穴の話』
劇団競泳水着『Romantic Love?』

結局こちらも10本…いっそのこと、これらも合わせて「今年の20本」でも良かったのかな。特にクロード・レジ演出『室内』と木ノ下歌舞伎『東海道四谷怪談』が10本から落ちるのは、明らかにおかしい。


役者で特に印象に残った人と言えば、やはり「今年の10本」の内4本(『熱狂』『彼らの敵』『起て、飢えたる者よ』『治天ノ君』)+1本(『ファミリアー』)に出演した西尾友樹になる。女優では、再演だが『空のハモニカ』の石村みかが、初演にもまして神懸かり的な名演だった。


2013年の観賞本数は述べ80本。FUKAIPRODUCE羽衣『サロメvsヨカナーン』、FUKAIPRODUCE羽衣『Still on a roll』、劇団チョコレートケーキ『起て、飢えたる者よ』、KUDAN Project『真夜中の弥次さん喜多さん』は2回見ているので、タイトル数で言うと76本になる。

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