【映画】『最高の人生の見つけ方』短評
見ていないのだが、前に『死ぬまでにしたい10のこと』という映画があった。それのハリウッド版だ。ただしジャック・ニコルソンがとてつもない大金持ちで、死期が見えた時点で、金に糸目を付けず好きなことが出来るという設定により、ドラマとしてのリアリティは激減。ある意味ご都合主義的なファンタジーに終始し、生と死の実存に深く食らい込むような感動は得られない。
とは言うものの、そのファンタジー的な側面さえ許容できれば、決して悪い作品ではない。本当に死に向き合うとき、このような映画は何の役にも立たないだろうが、生きている間の精神的カンフル剤としては良質な作品だ。
この作品の魅力と言えば、一にも二にもジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンの演技だ。とりわけジャック・ニコルソンが、これほど人生の味わいを感じさせる演技をしたことなど何年ぶりだろう。70歳を超えてなお進化を続ける名優の姿には、素直に感動してしまう。言うまでもなくモーガン・フリーマンも素晴らしいが、脚本上の問題で、一番美味しいところはニコルソンに持って行かれている。その二人の演技を的確に画面にとらえたロブ・ライナー監督の手腕も評価されていい。
意外と早く脳裏から消えていくタイプの作品ではあるが、少なくとも映画を見ている間は、心地良い笑いと感動に浸ることが出来る。主役二人の演技を見るためだけでも、入場料分の価値はあるだろう。
(2008年5月)
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