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05/18/2008

【映画】『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』短評

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最近、これほど予告編に騙された映画はない。予告編では、昔のフランク・キャプラ映画を彷彿とさせる理想主義的政治コメディのように見えるが、実際にはコメディ的な要素は希薄。普通のハリウッド映画なら、もっとサスペンスフルな展開に行くか、ヒューマニスティックな面を強調しそうなものだが、そのようなサーヴィス精神もなく、無愛想とすら言える政治的な駆け引きのドラマに終始する。『大統領の陰謀』や『候補者ビル・マッケイ』といった作品を思い出した。

つまらないわけではないのだが、見終わって非常に釈然としないものが残った。何しろ表面的に見れば「冷戦下に、巧みな政治工作でゲリラに武器を供与し、ソ連軍をアフガニスタンから追い出すことに成功した議員の物語」なのである。ソ連軍は、昔の戦争映画におけるナチスのような無人格な悪役としてしか描かれない。何の批評性もなしに「ソ連兵を殺そう!」と言った言葉を叫ばれると、さすがにちょっと待てよと言いたくなる。この映画は一体何を描こうとしているのだろうと、途中までかなり頭を悩ませた。

ようやく映画本来のメッセージが出てくるのは、ラスト5分程度。「戦いだけ支援して、その後の復興を助けないと、後でとんでもないしっぺ返しを食うことになるよ」という、今のアメリカに対するごもっともな教訓が述べられる。
しかしその肝心のメッセージを伝える描写が、あまりにも短く暗示的だ。『ランボー』と何も変わらない反共映画のごとき描写が1時間30分以上。最後の5分で、ようやく自省的なメッセージというのは、さすがにヴァランスが悪すぎる。この物語の後、アフガニスタンとアメリカがどのような運命をたどったかを、もう少しきちんと描かなければ、「共産主義をやっつけたぞ、万歳!」という側面ばかりが目立ってしまい、何とも居心地が悪い。描きたいことはわかるものの、脚本の構成ミスにより、最も大切なメッセージがうまく伝わったとは言い難い作品。


(2008年5月)

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