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09/04/2007

【演劇】少年王者舘『シフォン』2007.9.2

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少年王者舘『シフォン』
2007年9月2日(日)14:00〜 ザ・スズナリ


少年王者舘、『I KILL〈イキル〉』以来1年ぶりの新作だ。ただし今回は脚本が天野天街ではなく、役者の一人である虎馬鯨というところが異色。「少年王者舘=天野天街の脳内宇宙」というイメージが強いので、普通なら不安の方が大きいのだが、最近の天野は『平太郎化物日記』のように異種格闘技戦の方で素晴らしい成果を出している。したがってこの大胆な試みは、最近少しマンネリ気味の少年王者舘を活性化させる良い機会ではないかとも思った。

結果的に言うと、まるで少年王者舘のデジタルリミックスヴァージョンのごとき作品になっていた。作品中に出てくる要素は、いつもの少年王者舘そのものなのだが、その要素のつなぎ方や肌触りがこれまでと微妙に違っている。古い音源をデジタルリマスタリングして今までにない曲順で並べ、ところどころで曲間をつなげたり新たなSEを入れたりといったリミックス作業も施したベストアルバム…そんな感じだろうか。
もちろん幾つか欠けている要素はある。たとえば文字が別の文字に変わる遊びや、壁から何かが突き出て移動するといった仕掛けはない。美術セットは比較的地味だし、仕掛けの類も控えめだ。役者では、夕沈や石丸だいこ、虎馬鯨は出ているが、水谷ノブや珠水といった人たちは出ておらず、あまり見た記憶のない顔が目立つ。天野天街も「アマノテンガイ」という芸名で3シーンに出演しているが、演技は特に可もなし不可もなしで、特筆すべきことはない。
内容面で言うと、ノスタルジーや死の匂いは、いつもより薄め。そのため詩情や哀感はあまり感じられないが、同じ行為の繰り返しによるナンセンスで不条理な笑いが、いつも以上に強調されている。前からその影は見え隠れしていたが、これまでのどの作品にもまして『うる星やつら/ビューティフル・ドリーマー』を思わせる話になっている。

結果的には、虎馬鯨を脚本に起用したことで、ある程度のリフレッシュに成功したようだ。虎馬鯨が少年王者舘ならではの要素を一度パーツに分解して再構成し、それを天野天街が脚色・演出という形で最終的に仕上げることにより、目新しい感覚と、いつもの少年王者舘らしさが、無難なバランスで配合されている。もう少し新しい要素を付け加えても良かった気はするが、全体的には成功と言っていいだろう。

しかし一つだけ大きな問題がある。最初の1時間はほぼ文句なく面白いのに、後半30分で突然ネタ切れしたかのように失速してしまうことだ。最後もクライマックスらしきものはなく、何となく終わってしまった感じ。後半30分間は、場内の笑いも明らかに少なくなっていたので、同じ思いを抱いたのは僕だけではなさそうだ。最後まで前半と同じテンションが保たれ、心に残るクライマックスがあったら、もっと絶賛できただろうに。残念だ。


終演後、天野さんに今後の予定を尋ねたところ、来年は映画を製作するため、夏の公演はおそらく無しになるそうだ。芝居が見られないのは残念だが、1994年に製作された映画『トワイライツ』は、天野天街という芸術家のエッセンスが凝縮された大傑作で、日本映画史に残るものだと思っている。あれに匹敵する作品がまた生まれるのであれば大歓迎だ。そちらにも大いに期待しながら、再び少年王者舘の芝居が見られる日を待つとしよう。


(2007年9月)

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