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09/24/2007

【演劇】ヒンドゥー五千回『渋柿の行方』2007.9.22

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ヒンドゥー五千回『渋柿の行方』
2007年9月22日(土) 19:30〜 サンモールスタジオ


ヒンドゥー五千回は、今年の3月に『うたかたの日々』という作品を、同じサンモールスタジオで見ている。青年団の『南島俘虜記』を彷彿とさせる内容で、青年団ほどの精緻さはないが、その分親しみやすいユーモアがあり、それなりに面白かった。しかし次の公演も必ず見ようと言うほどではなく、本来はこの作品も見ないつもりだったが、ちょっとした事情があって見ることになった。
しかし見る3日前に予約してセブンイレブンで発券したら、整理番号が1番だったのにはビックリ。そう言えば前回もカンフェティの割引チケットで1500円くらいで見たのだ。この日も客の大半は出演者の知り合いのようだったし、実はまともにチケットを買う人があまりいない劇団なのか?? ちなみに、開場時に待っている客が数人しかいなかったせいで、開場するとみんな適当に入場し、整理番号の意味は皆無だった。そんな調子なので、ガラガラの入りかと思いきや、開演時までに9割近い席が埋まっていた。もう何が何やら…

『うたかたの日々』とは、かなり作風が違う。ほわんとした時間が流れていくような前作よりも明確なストーリーがあり、良い意味で普通のお芝居になっている。今回の方が個人的には好みだし、本は間違いなくこちらの方が上だと思う。1時間50分、退屈せずに楽しむことが出来た。
ただし無駄なエピソードや人物が多すぎる。特に妙子をめぐる男たち、大久保とマサミチは、もう少し軽い描き方で十分ではなかろうか。一番不可解なのは、風呂を借りに来る斎野というキャラクターで、どう考えても祖父母と妙子の関係を中心としたメインストーリーとうまく絡んでいない。それでいてエピソード自体は非常に面白く、彼が存在することで芝居に大きな緊張感が生じていることは間違いない。前作も考え合わせると、ウェルメイドになりそうな話をウェルメイドにしない妙なちぐはぐさが、この劇団の味なのだろうか。

ラストは様々な解釈が出来るが、僕は「妙子には、そのように見えた」という意味に取りたい。そうでないと、いくら何でも不可解なことが多すぎる。それを除いても不可解な部分はいろいろあるのだが、つまるところ、この作品が言わんとしていることは「柿には甘いのと渋いのがあるんだよ。けれどちゃんと渋抜きをすると、本当に甘いのは渋柿の方なんだ」という台詞に集約されているようだ。その決定的な台詞を中心に据えているからこそ、ある程度の無駄やブレがあっても、何とか話が瓦解せずに済んでいるのだろう。

だがこの作品の最大の魅力は、本や演出よりも、個性的な役者たちだ。ただし後で調べたら、特に良かった役者のほとんどが客演だったのはいかがなものかと…
中でも傑出していたのは、妙子役の長谷川有希子(reset-N)。初めて見たが、この人はかなり凄い。最初に出て来たときは、あまりの背の小ささにビックリしたが(プロフィールに148センチと書かれているが、実際はもっと小さいのではなかろうか)、その小さな体に、演技のエネルギーや役者としてのオーラが凝縮されている。あんな微妙な表情が出来る役者は、なかなかいるものではない。体が小さいので身体全部を使った表現は少し見劣りする部分もあるが、このような小さな劇場においては、あの表情だけで強力な武器となる。今後要チェックな女優がまた一人増えた。
それに次いで良かったのが、母親役の原扶貴子(KAKUTA)。先日『夢顔』で素晴らしい演技を見せた桑原裕子といい、やはり次のKAKUTAの芝居を見ないわけにはいかないようだ。ちなみにreset-NとKAKUTAは、来年の1月、共にシアタートラムでの公演が予定されている。
男性陣で良かったのは、斎野役の成川知也。得体の知れないキャラクターの不気味さを、うまく表現していた。

決して大傑作と言うわけではないが、さして期待もせず、半ば偶然見たような作品だけに、拾い物をしたようなお得感がある。「次も必ず見る」とは言えないが、「出来れば次も見たい」と思わせるだけの魅力はあった。


(2007年9月)

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