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05/04/2007

【ライヴ】キース・ジャレット・トリオ 2007.4.30

Keith1


キース・ジャレット・トリオ
2007年4月30日 19:00〜 東京文化会館


一昨年のソロ公演が素晴らしかったキース・ジャレット、今度はゲイリー・ピーコック(b)、ジャック・ディジョネット(ds)と組んだ、いわゆるスタンダーズ・トリオでの来日公演だ。前にテレビで見たことはあるが、このトリオの演奏を生で見るのは初めてだ。

会場は上野の東京文化会館。ソロ公演の時の東京芸術劇場と同じく、主にクラシックやオペラやバレエ用のホールだが、予想よりもだいぶ広いのに驚いた。今回の僕の席は1階の15列目でイマイチだと思っていたが、中に入ってみて、十分に良い席であることがわかったほどだ。4階席・5階席など、アーティストの姿が見えないのはともかく、音もまともに届かなかったのではないだろうか? 一番安い席でさえ8000円もするのだが(僕のSS席は12000円)。


19時5分、3人が登場。ゲイリー・ピーコックが、絵に描いたような爺さん的風貌になっているのに驚いた。ジャック・ディジョネットは、メガネをかけるとハービー・ハンコックに似ている。


いよいよ演奏が始まる。

う〜む、何だかごく普通。特別な熱気も閃きも感じられない。

まだ公演初日で、3人ともエンジンがかかっていないのだろうか?

2曲目で「My Funny Valentine」のお馴染みのメロディが聞こえる。キースは好調なようだが、やはりトリオとしての化学反応は起こらない。

特にゲイリー・ピーコックがまるで冴えない。どの曲も中間部にベースソロがあるのだが、よく言っても無難な、悪く言えば手癖だけの垂れ流しのようなフレーズばかりで、何のイマジネーションも感じられない。ディジョネットもおとなしいし、一体どうしてしまったのだろう? 昼間、美術館と科学博物館を見物して疲れていたせいもあり、眠気に襲われることもしばしばだった。


1時間少々で第一部の終わり。20分間の休憩に入ったが、「チケット代12000円も無駄にしたかなあ…」と、暗澹たる気持ちで眠気覚ましのコーヒーを飲んでいた。


20時30分近くに第二部の開幕。

うん? 何があったのだろう? 演奏に突然生気がみなぎっている。第一部とはかなり違うぞ。まさかこちらの眠気が醒めたからという理由でもあるまい。ピーコックもディジョネットも、明らかに第一部よりノリが良くなっている。特にピーコックは、後になるほど目覚ましい復調を遂げ、イマジネーションのあるソロを聞かせてくれた。ディジョネットのドラミングも、後になるほど熱気を帯びていく。演奏の方向性がキースのピアノと噛み合っていないように感じられる部分も少しあったが、それさえも「勢い」として肯定できる演奏だった。

2曲目はMJQの名曲「Django」。大好きな曲だが、長いこと聞いていなかったせいで、演奏中はどうしてもタイトルを思い出せなかった。すぐに思い出していれば、オリジナルとの違いを、もっと細かく楽しむことが出来たのに。残念だ。
この曲の演奏は、とりわけ素晴らしかった。ブルース色の濃い、このトリオにしては異色な選曲だが、それ故に新鮮で、3人とも演奏を大いに楽しんでいるようだった。

その後の2曲も充実した内容で、特にアップテンポなナンバー「Hallucinations」では、三人とも実に気持ちよさそうに演奏していた。もちろん聞いている方もだ。

そしてアンコールは「God Bless The Child」。この演奏も文句無しだが、まさかのアンコール2曲目「When I Fall In Love」は、さらにそれを凌ぐ素晴らしさ。この曲と「Django」の2曲が本日のベストプレイだったと思う。ゲイリー・ピーコックのソロも、第一部とは別人のように聞き応えのあるフレーズを連発していた。

アンコール1曲目が始まったのは21時15分、2曲目は21時30分、終演は21時45分。途中に20分強の休憩が挟まったとは言え、かなり長丁場の演奏だった。


点数を付けるとすれば、第一部40点、第二部85点、アンコール90点といったところか。第一部では一体どうなることかと思ったが、第二部で元を取り、アンコールでお釣りまでもらったという感じだ。
それでも第一部が足を引っ張ったのと、「ソロであれだけ素晴らしかったのだから、トリオでは、もっと凄い演奏が聞けるはず」という期待に完全に応えていたとは言い切れない。全体的な評価としては、一昨年にキースのソロを聞いたときの方が強い感動を覚えたというのが正直なところだ。


とは言うものの、今のジャズ界で、これほど緻密でアーティスティックな演奏を聞かせてくれるチームは、ほとんどいないはずだ。メンバー全員が60歳を超えているトリオが未だトップに居座っているのは、ある意味不健全なことだと思うが、それは彼らを追い越せない若手の問題であり、3人が自分たちの音楽を極めることに文句を言う筋合いではない。
年齢も年齢なだけに、このトリオはもちろん、キース・ジャレットの演奏もあと何回聞けるかわからない。その一回一回を一期一会のものとして、心の奥深くへ刻みつけていくことにしよう。


1st Set:
1) You Go To My Head
2) My Funny Valentine 〜 Improvisation
3) Come Rain Or Come Shine
4) Sandu

2nd Set:
1) The Masquerade Is Over
2) Django
3) Stars Fell On Alabama
4) Hallucinations

Encore:
1) God Bless The Child
2) When I Fall In Love


(2007年5月)

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