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12/17/2006

【映画】『犬神家の一族』諸悪の根源はジョージ・ルーカス

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あの『犬神家の一族』がリメイクされたと言うので、チケットを買って劇場に入ると、そこで上映されていたのは30年前の旧作だった。私ともあろうものが、とんでもない失敗をやらかしたものだ。そもそもリバイバル上映があることさえ聞いていなかったのだが、ずいぶん前に一度見たきりだし、リメイクの前哨戦として見るのもいいだろうと、そのまま見ることにした。

デジタルテクノロジーを使って修復されたのだろうか。30年前の作品とは思えぬほど画質は良好だ。それでも薄く霧がかかったようなソフトな画質は、やはり70年代ぽく、最近の映画とは違う佇まいを見せている。

しかしやがて奇妙なことに気がついた。

どうも配役の一部が、昔見た時と違っているような気がするのだ。

もちろん石坂浩二の金田一耕助は変わってない。「よし、わかった!」の等々力警部も加藤武だ。大滝秀治も草笛光子もいる。監督は確かに市川崑だし、大野雄二作曲の美しいテーマ曲も変わらない。しかし幾つかの配役が以前と変わっているように見えて仕方がないのだ。

「そうか、これはスター・ウォーズのあれと同じか…」と気がついた。旧三部作がDVD化された時に、ダースベイダー役の俳優がセバスチャン・ショウからヘイデン・クリステンセンに差し替えられたのと同じ手法だ。何らかの理由があって、島田陽子は松嶋菜々子に、高峰三枝子は富司純子に差し替えられてしまったのだろう。
しかし酷いことをするものだ。そりゃ『将軍 SHOGUN』に出た後は「私は国際派女優よ」と勘違いして元祖プッツン女優の道を突っ走ってしまった島田陽子だが、70年代の可憐な美しさは特筆ものだぞ。今の松嶋菜々子なんて全然目じゃない。
市川崑という人は、昔から新しい技術やアイディアを導入するのが好きだったが、旺盛な実験精神が裏目に出ることもしばしばあった(ex.『火の鳥』)。今回もそれだな。何もこんなところでジョージ・ルーカスなんぞの真似をしなくてもいいだろうに…

とは言うものの、久しぶりに見た『犬神家の一族』は、昔見たときの印象通り面白い作品だった。日本的な土俗臭溢れる殺人劇を、フランス映画を思わせるスタイリッシュな雰囲気でまとめ上げた演出は、今見てもユニークだ。この手の作品は他にもたくさん作られているが、これほど「上品さ」と「外連味」のバランスがうまく取れた作品は滅多にない。キャラクターの造形も絶品で、ストーリーにあまり影響を与えない脇役に至るまで奇妙な魅力を放っている。

それにしてもあらためて感心したのだが、金田一耕助って本当に何もしてないのね(笑)。もちろん彼が事件を未然に防ぎ犯人を追い詰めるタイプの探偵ではなく、殺されるべき人が全て殺された後で「犯人はあなたですね」と言って、犯人まで死に追いやってしまうタイプの探偵であることは百も承知していたが、今回見直すと、「これだけ条件が揃っていれば、別に金田一でなくても真相は容易に掴めるだろう」と思ってしまった。つまるところ彼の最大の能力は、推理能力ではなく、「居るべき所に偶然居合わせ、聞くべき内容を偶然立ち聞きする」運の強さにあるようだ。この辺りはエルキュール・ポワロによく似ている(原作は知らない。映画で見た限りの印象)。


で…リメイク版の新作映画って、いつ公開されるの?


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