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06/24/2006

【ライヴ】伊吹留香/te 2006.6.18

Top0604


伊吹留香/te ライヴ
2006年6月18日(日) 下北沢MOSAiC


伊吹留香、ライヴは4月29日にやったばかりだろうという感じだが、活動が活発なのはいいことだ。あの新しいバンドの成長ぶりを見たいし、対バンのteが以前からアンテナに引っかかっていたので、今回も足を運ぶことにした。なおteは、正確にはeの上にアクサン記号がつくのだが、ヘタにこれを再現するとHP全体が文字化けする危険性があるので(前にこいつのせいでメールが全て文字化けした)、とりあえずteと仮表記しておく。

これまではトリかトリ前の出演だった伊吹だが、今回はトップバッター。出演は伊吹留香/te/THE SALINGER/THE RODEO CARBURETTORの順番。後の2バンドは知らないのだが、伊吹とteより後に出てくるのだから、しっかりした実力を持ったバンドだろう。しかしこの日は22時からワールドカップの日本×クロアチア戦があるので、21時を回ればきっと客が減るはず。その意味では先に出た方が得に違いない。伊吹留香、意外に強運の持ち主だ。

五反田で『バレエ・フォー・ライフ』が終了したのが16時過ぎ。かなり雨が降っていたので、そのまま下北沢へ直行したのだが、開演は19時から。2時間半も空きがある。仕方なくカフェを2軒ハシゴするはめになった。普段ならブラブラと時間を潰すのに事欠かない下北沢も、あれだけ本降りの雨では屋内に引き籠もる以外にない。


19時前には雨も止んでMOSAiCへ。ほぼ定刻どおりに伊吹留香たちの演奏が始まる。

メンバー3人は前回と同じ。
Bass:浜田如人
Guitar:杉山隆哉
Drums:河鰭文成

前回と同じく6曲の30分セット。曲目は以下の通り。
1.胼胝
2.能ナシ
3.ぜんまいのきしむ音
4.36.5℃
5.死角
6.ダイレクト

バンドの演奏は前回以上のまとまりを見せていた。ギターは若干おとなしめだが、理知的なプレイで、過不足無く音を紡ぎ出していく。ベースとドラムスが叩き出すヘヴィーなリズムは、お見事の一語。特にドラムスの河鰭は、これまでで一番パワフルな演奏だったのではないか。この手のヘヴィーなグルーヴが大好きな人間にとっては、最高に美味しいリズムセクションだ。前回はジミヘンやブラック・サバスなど60〜70年代のハードロック的な匂いを強く感じたが、この日はむしろレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンを思わせる、90年代的なへヴィネスが前面に出ていた。
また、狙ったのかどうかは知らないが、ギターの杉山とベースの浜田が同じようなヘアスタイルに同じようなファッションをしていて、しかも浜田が左利きなのでベースとギターのネックが共に外側を向いている。そのためステージが見事にシンメトリーをなしているところが妙に笑えた。

主役の伊吹留香だが、前回よりも喉の調子はいいようだ。ヴォーカルも安定している。ただし悪い意味で。
この日の伊吹には「守り」の姿勢が感じられた。特に目立った破綻はないのに、これまでで最も歌が心に響いてこない。そつなくまとめようとするあまり、歌に心を込めるのを忘れているかのようだ。以前は、たとえ歌が乱れても、何とか思いを伝えたいというもがきが感じられたし、それが未成熟なヴォーカルを補う感動を与えていた。ところが今回は妙に弱腰だ。まさに悪い意味で安定している。

考えてみると、これまでに4回見た中で最も良かったのは、彼女が心身共にボロボロだった昨年12月のライヴだ。やはり彼女のようなアーティストにとっては、苦しみや悲しみが、より強い表現を生み出す糧になるのだろう。しかし前回も書いたとおり、それだけに頼っていては早々と燃え尽きることになる。アーティストとして成長するためには、日常的な幸福や不幸に左右されることなく一定以上の表現を生み出せる、精神的・技術的な強さが必要だが、その点で彼女はまだまだだ。いわゆる「プロ意識」が希薄なのだと思う。しかしファーストアルバムが間もなく世に出る以上、それに伴う期待や責任から逃れることは出来ない。プロのアーティストとして、もうワンステップ成長を遂げるべきだろう。

そんなわけで全体的には今までで最も印象の薄いライヴになってしまったが、「ダイレクト」には、かなり熱い思いを感じ取ることが出来た。最後にやるバラード的なナンバーが一番良いのはいつものことだが、そろそろこのテンションを最初から出せるようにして欲しいものだ。なおこの曲に関しては、バンドはもう少し静かな演奏に徹した方が良かったと思う。

ファーストアルバム『課外授業』は6月30日発売。アルバム発売後のライヴで、より成長した姿を見せて欲しい。

http://www5d.biglobe.ne.jp/~zillion/ruka/index.html


次はもう一つのお目当てであるte。妙に大がかりなセットチェンジをしていると思ったら、メンバーの配置が非常に変わっている。ドラムスはステージの下手。上手は椅子に座ったリードギター。真ん中の奥にもう一人のギター。真ん中の手前にベースがいるのだが、こいつが常に観客に背中を向けて演奏している。何じゃこりゃ。

サウンドだが、ヴォーカル無しのロックインストゥルメンタル。以前HPで試聴したときは「トータスやサンガツのようなポストロック・音響系」という印象だった。その手のたおやかな音空間を想像していたのだが、実際にライヴを聞いてみると、トータスやサンガツの100倍騒々しい(笑)。普通のハードロックやヘヴィーメタルとは全く違うが、その手のバンドに匹敵する騒々しさ。何かに似ているようでいて、何にも似ていないような不思議なサウンド。強いて形容するなら「トータスやサンガツを100倍騒々しくした音」ということになる(笑)。

しかしこれがなかなか気持ちいい。サウンドそのものはまったく違うが、音が心身をマッサージしてくれるような感覚は、ROVOに少し近いものがある。今の自分が、CDでこの音を聞く必然性は感じられないが、ライヴだったらまたぜひ体験してみたい。

演奏時間約35分。期待したのとは少々違うものだったが、期待したのと同じくらい良いものを聞くことが出来た。満足。

http://tee.daa.jp/web.html


2番手のteがこれだけ良かったのだから、次のTHE SALINGERとTHE RODEO CARBURETTORもきっと良いバンドだろう。見たいなあ…と思ったが、すでに20時半。下北沢を後にして、家に帰り、日本×クロアチア戦を見る。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


残りの2バンドを見ていくべきだった。


(2006年6月)

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