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06/18/2006

【演劇】ガラシ×ク・ナウカ『ムネモシュネの贈りもの』2006.6.17

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ガラシ×ク・ナウカ
『ムネモシュネの贈りもの』〜「記憶」をめぐる物語〜
2006年6月17日(土) 19:00〜 ザ・スズナリ


インドネシアの劇団(パフォーマンス集団?)テアトル・ガラシとク・ナウカのコラボレーション作品。演出・構成はガラシのユディ・タジュディン、脚本はモハマド・ウビラン・ブラザドと大西彩香。宮城聰は企画/脚本協力となっているが、クレジット的にも内容的にもガラシのカラーが強く出た作品と言って間違いないだろう。出演はガラシとク・ナウカの役者が半々程度。

一貫したストーリーはなく、「記憶」をモチーフとしたイメージ的なパフォーマンスが続く。全70分ほどで、5分〜10分程度のエピソードが幾つも連なっていく構成。

「ムネモシュネ」とは記憶の神だそうで、これを美加理が演じている。ところどころに哲学的だったり詩的だったりコミカルだったりする台詞が入ってくるが、エピソード同士のつながりはわかりにくい。あまり論理的に考えず、目の前で繰りひろげられるパフォーマンスを感覚的に楽しむ方がいいようだ。

まず目を引かれるのは、ガラシの役者たちの異様な身体能力。「お前本当に人間か?」と言いたくなる動きが何度となく出てくる。特に目を引いたのは女性の一人で、SF映画のアンドロイドかホラー映画の化け物のごとき動きをする。彼女の関節と筋肉は一体どういうことになっているんだ。問題は、その人間離れした動きによって何を表現しているかがわからないことで、そのため「驚き」はしても「感動」はしないのだが…

日本の中ではかなりの身体能力を持つク・ナウカのメンバーも、さすがにこんな連中が相手では分が悪い。ただドタバタ動いているだけのように見える。ただしそのドタバタさが一つのまとまりを持ち、ク・ナウカらしいユーモアに結びついているところはさすがだ。

だが驚異的な身体能力を持つガラシ勢に対抗し、圧倒さえしていた人物が一人いる。美加理だ。やはりこの人の発するオーラは並みではない。彼女のパフォーマンスも見ることが出来たのだが、身体能力では決して敵わぬガラシ勢に対し、『王女メデイア』のラストでも見せてくれた独特の「舞」で対抗。鋭利さやスピード感は無いものの、一撃必殺の斧のような重いパワーを発し、比較のしようがない地点でまったく別種の極みに達していた。ガラシ勢が「光」や「風」なら、美加理は「波」といったところか。また今回は、そんな美加理の、可愛らしさやユーモラスな側面が表に出ていた点も興味深かった。そう、今回の美加理は今まで見た中で一番「可愛い美加理」だった。

ク・ナウカの芝居は元々舞踊的な要素が強い割に、そういう文脈で語られることがほとんどないのが前から不思議だった。しかしさすがにこの作品は、そちら方面でも話題になるのではないだろうか。その流れにあるのかどうか知らないが、11月には美加理がダンストリエンナーレ2006というコンテンポラリーダンスのフェスティバルに出るらしい。これは非常に楽しみだ。


ク・ナウカの普段の芝居とはほとんど別物だが、たまにはこんなパフォーマンスを見るのも面白いものだ。内容を理解したとは言えないが、ガラシの驚異的身体能力と、美加理の今までにない魅力を見るだけで十分に楽しめる。やはり美加理は、彼女一人で「美加理」という名の一つの芸術ジャンルなのだと思い知らされた。


(2006年6月)

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Comments

ムネモシュネの贈り物、とてもよかったです。
その前のガラシの公演で、東洋人全体がここ数十年の急激な変化に翻弄され、帰るべき故郷を皆無くしているのだと実感しました。
ムネモシュネの贈り物にも、人類全体の緩やかで急激な記憶喪失という堕落に対する警鐘が感じられて、とても良かったです。
先日、上野でトリスタンとイゾルデを拝見致しましが、美加理さんの琉球のお姫様はまさに、誰の心の奥にも存在する、本当のお姫様でした。
普段演劇にはまったく興味がないのですが、
玉三郎さんと美加理さんだけは、お金がなくても
見に行きたくなってしまいます。
この御二人はどれほど努力しておられる天才なのか、本当に尊敬してやみません。

Posted by: Noriko | 08/03/2006 at 13:55

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