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01/18/2006

【音楽】2005年度 ライヴコンサート ベスト5

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2005年にライヴを見に行った回数は21回。例年に比べると少ない(それでも十分に多いし、今年もせいぜいこの程度に抑えたい)。しかもクイーン+ポール・ロジャースと三上ちさこが4回、ROVO、COIL、伊吹留香が2回…という具合でアーティスト別で言うとさらに数が少なくなる。これではベストテンを選ぶほどではない。そのためベストファイヴだけを選び、かつ順位は付けないでおく。

なおミュージカル『WE WILL ROCK YOU』は、演劇部門の方で「演劇というよりもライヴとしての感動」と書いたものの、結局こちらからも外すことにした。ああ、可哀想な『WE WILL ROCK YOU』…

ライヴに行った回数自体は少なめだったものの、ハズレはほとんどなかった。少数精鋭もここに極まれりといった印象だ。とりわけ以下の5つは、これまでに見た全てのライヴの中でもオールタイムベストに数えられるようなものばかり。長生きはするものだ。むしろ、たった1年のうちにこんな素晴らしいライヴを何本も見てしまい、この先まだ見るべきものは残っているのかと不安になる。それほど充実した1年間だった。


★ブライアン・ウィルソン
 1月30日(日) 中野サンプラザ

『ペット・サウンズ』に続くビーチ・ボーイズの新作として、1966年に制作が開始された『スマイル』。様々な事情から未完成に終わったものの、断片的に発表された収録曲の素晴らしさから、「ロック史上最も偉大な未完成の名盤」として数多くの伝説に彩られてきたアルバムだ。
2004年、その『スマイル』を、ブライアン・ウィルソンがソロ作品として完成させた。「幻の名盤」がついに「現実の名盤」として姿を現したのだ。さらにブライアンは、『スマイル』完全再現をメインにしたワールドツアーまで行い、この日本にもやってきた。
前半はビーチ・ボーイズとソロ作品のナンバーから選りすぐられたベスト盤的な構成。休憩を挟んだ後半で『スマイル』が全曲完全再現される。演奏は完璧。ブライアン自身は、前回の来日と比べてもあまり声が出ていないが、若いメンバーのブライアンに対する敬愛と驚異的なテクニックが全てを補っている。永遠が一瞬のうちに過ぎ去り、一瞬のうちに永遠が見える至福の時間。音楽の一つの理想型。そして『スマイル』を完成し、再現ツアーまで行った以上、もうこれ以上のブライアン・ウィルソンは望めないのだという思いで、胸が切なくなる。

この1月30日、僕は風邪の症状に苦しみながらも、昼は初台の新国立劇場でMODEの『城』を観劇。終演後すぐに中野サンプラザへ向かい、このライヴを見た。それは間違いなく2005年で最も贅沢な一日だった。


ここから下の4本は詳しいレビューを執筆済みなので簡単に。

★R.E.M
 3月16日(水) 日本武道館

1995年の来日を遙かに上回る最高のライヴ。今第一線で活躍しているロックバンドの中でR.E.Mを超える存在はいないことを痛感した。曲、歌、演奏、パフォーマンス、音楽に向かう姿勢…全てが素晴らしい。ロックが歴史的な役割を終えた後に登場した、我らの時代のロックバンド。次は10年も間を空けずに来て欲しい。


★カエターノ・ヴェローゾ
 5月25日(水) 東京国際フォーラムホールA

それまで熱心なファンだったわけではなく、映画『トーク・トゥー・ハー』で「ククルク・パロマ」を歌う彼の声に惹かれて行っただけ。その結果、これほど深い感動を呼び起こすライヴに出会えるとは。ペドロ・アルモドバルに感謝しなくては。


★キース・ジャレット
 10月21日(金) 東京芸術劇場大ホール

初めてのキース・ジャレット。それまでに見たどんなライヴとも違う音楽体験。キースだけでなく観客も一体となって、デリケート極まりない「美」を生み出していく、あの不思議な時空間。


★クイーン+ポール・ロジャース
 10月26日(水)/27日(木) さいたまスーパーアリーナ
 10月29日(土)/30日(日) 横浜アリーナ

最高のヴォーカリスト ポール・ロジャースを迎えて、クイーンがまさかの復活。20年ぶりに日本でライヴを行った。より強力になって甦るクイーン、フリー、バッド・カンパニーの名曲群。自分にとってのロックとは、結局これだったのだ。これまでの自分の人生に一つの決算が行われ、ここからまた新たな人生が始まるような、そんな体験。人間は、五十代後半になっても、新たに人と出会い、新たなものを作り出すことができる…彼らの姿はそんな勇気を与えてくれた。


以上5つのライヴが神がかり的に傑出していたため、ベストファイヴには加えられなかったが、ソロで4回(うち2回は対バンあり)、fra-foaで1回と、1年の間に5回もステージを見た三上ちさこの存在は圧倒的に大きかった。何やら一年中ちさこを見ていたような気さえする。一つ一つのライヴの素晴らしさでは上の5つに及ばないものの、やはり2005年はクイーン+ポール・ロジャースと三上ちさこの年として記憶されることになりそうだ。


なお、2005年のベストCDまで選ぶ気はない。最近音楽鑑賞はiPod(40G)がメインになってしまったため、収録さえしておけば古い音楽でも指先一つで呼び出せる。そのため気分次第で、昔聞いていたアーティストを集中的に聞いたりして、「2005年のCD」という意識がすっかり希薄になってしまったからだ。例えば今よく聞いているのは、ビル・エヴァンスとグレン・グールド、斎藤ネコによる舞台『城』のサントラ、そしてフリーとレインボー(笑)だったりする。もうこうなると2005年も1955年もまったく関係ない。僕の音楽鑑賞にとって、iPodの出現がいかに革命的な出来事だったかを、あらためて思い知らされる。


それでもあえて、「後に2005年という年を振り返ったとき、よく聞いていた音楽として思い出すもの」と言えば、次の2枚のアルバムになるだろう。

クイーン+ポール・ロジャース『Return Of The Champions』
三上ちさこ『Here』(特に「解放区」)

やはり僕にとっての2005年は、クイーン+ポール・ロジャースと三上ちさこの年だったということだ。


(2006年1月初出)

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