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10/10/2005

【ダンス】イデビアン・クルー『迂回プリーズ』2005.10.8

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イデビアン・クルー『迂回プリーズ』
10月8日(土) 15:00〜 パークタワーホール 


最近コンテンポラリーダンスなるものに、多少の関心を持っている。現在の小劇場系演劇に深入りしていくと、最先端の部分で演劇とダンスが混じり合っているため、必然的にダンスにも興味を持たざるをえないからだ。
と言っても、今までに見たのは井手茂太関連作品だけ。枇杷系、珍しいキノコ舞踊団、チェルフィッチュなどもマークしているが、まだ見ていない。まあ1年以内に見ることになるだろう。そう言えば来年はピナ・バウシュの『カフェ・ミュラー』再演があるので、これは必見か。


今回見たのはイデビアン・クルーの『迂回プリーズ』。昨年暮れの『関係者デラックス』、井手茂太のソロ公演(と言っても、実際には数人の脇役がいる)『井手孤独』に続いて3回目の観賞だ。もっともこの人の振り付けは、『AMERIKA』『城』などMODE作品で見ているから、自分の観劇歴からすると長い付き合いということになる。


「迂回プリーズ」の張り紙に従って場内に入ると、場内は前回とまったく違うセッティング。ステージは映画のシネスコよりも横長。座席もそれに合わせて横長。最初は最前列に座りかけたが、ステージを見て、これではとても全体像を把握できないと思って4列目に。さらにもう1〜2列後ろでも良かった気がする。

出演者は皆ボーイスカウト&ガールスカウトのような出で立ち。ただし中国語が何度か出てくるせいもあって紅衛兵のようにも見える。前半は、彼らが横長の舞台を走り回りながら、ユーモラスなダンスや寸劇を披露する。この辺りの躍動感は素晴らしい。目が楽しいと喜んでいる。

しかし後半になると、次第にストーリー的な色彩が濃厚になってきて、ここで引っかかる。『関係者デラックス』は前半でもったいぶりすぎた印象だったが、今回は前半何も考えずに感覚的に楽しめるのに、後半になると急に「見る快楽」が失われていく。特に終盤、何かの爆発があって皆が倒れ、それを一人一人助け起こしていくシーンは長すぎはしまいか。

ただしこの感想は、演し物をどう見るかという根本的な問題に関わってくる。何しろこの分野はまだ見始めたばかりなので、どこに視点を据えて見ればいいのか今模索している最中なのだ。
「ダンス」という言葉に拘って、あくまでも身体パフォーマンスとして評価するなら、音楽すらない後半は明らかに退屈な代物だろう。もっと演劇(ストレートプレイ)に近い、テーマ性やストーリー性を持った作品として評価すると、今度はよくわからないことが多すぎる。と言うより明確なテーマやストーリーがあるなら、それをこのような形でやる意味がわからない。

コンテンポラリーダンスというものを見るなら(少なくともイデビアン・クルーの作品を見るなら)、おそらくそのどちらでもない新しい視点が必要なのだろう。論理的に考えれば、それは「ただのダンスでも、ただの演劇でも表現できない何か」を見いだして楽しむ視点ということになる。だが自分はそのための視点をまだ見つけられないでいる。

印象として感じられたテーマは「生き生きとした生命と、それを抑圧するもの」「戦争などの巨大な影」「規律を乱す者に対する罰則」なとどいうものだが、そういうイメージだけは湧いてきても、それを咀嚼し、自分の中で発展させていくための回路がまだ出来上がっていないのだ。


この分野はまだまだ勉強だな。井手作品ばかりではなく、他のアーティストも見ることで、思いがけずポコッと回路がつながることもあるだろう。


とは言うものの、前半の「ダンス」としての楽しさだけで十分に見る価値はあったし、これまでに見た3作品の中では一番面白かった。最初の方で使われていた音楽が気に入ったので、使用楽曲がHPなどで分かるようになっていると、たいへん有り難いのだが…


『関係者デラックス』で来たとき、パークタワーの中にある洒落た雑貨店などがいたく気に入り、今回もそこを見るのを楽しみにしていたのだが、到着が大幅に遅れ、終演後も人との付き合いがあったので、まったく見ることが出来なかった。それがとても心残りだ。


(2005年10月初出)

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Tracked on 10/13/2005 06:46

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