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09/25/2005

【演劇】インベーダーじじい『あるやんごとなき夫婦の物語』2005.9.24

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インベーダーじじい『あるやんごとなき夫婦の物語』
シアターIWATO 2005年9月24日(土) 14:00〜


今年の3月に見た『眠れない都会の夜に眠るために』がなかなか面白かったので、また見てみようと思ったインベーダーじじい。しかし今回は不安要素も大きかった。前回がかなり派手な作りでエンタテインメントとして楽しめたのに対し、今回は小さな劇場で出演者5人だけの芝居。前作を見たかぎりでは、そんな地味なドラマを面白く見せられる劇団なのかどうか計りかねたからだ。

初めて入ったシアターIWATOは、ありふれたビルの1階という立地条件からすると意外に広い。客席数もスズナリとそんなに変わらなそうだ。
驚いたのは客層のわけわからなさだ。40代以上のおじさんおばさんが妙に多い。明らかに出演者の知人・友人という人も多数いたが、そうでなさそうな人もいる。一方で若い女子たちもかなりいる(明らかに女優という人も多し)。強いて言うなら、若い男一人というのが少ない感じがしたが、とにかくてんでばらばらで、客筋というものが見えない。何なのだろう、あの客層は。


以下、劇団HPに書かれているあらすじをそのまま転載。

今ネット上で急増する個人発信のでっちあげラジオ番組「デジオ」を題材に描く冷めた夫婦の愛憎劇。
ある人気DJが発信するネットラジオ番組に一人の男が自分の妻の事を相談を持ちかけるところから話が始まる。男が言うには、どうやら女房は浮気をしているらしい。そんな何処の家庭にでも一度は起こりそうな問題だったはずなのに、愛の行方を占うカリスマ占い師や姑が登場し、夫婦の絡まった糸がさらに駒結び的に修正不可能に絡み付いていく・・・。今、密かにネット上で爆発的に増え続けるでっちあげのラジオ番組「デジオ」という題材を得て、冷めきった夫婦の愛憎劇を、時に深く時に滑稽に描き出した問題作インターネット上のラジオ、「デジオ」でオンエアされている人生相談を舞台に、ある夫婦の確執が語られていく。

(どうでもいいが「駒結び」は「細結び」または「小間結び」の誤字では…)


セットはごくわずか。「ON AIR」の電光表示、上から下げられた幾つかのテレビモニター、そして5脚のパイプ椅子だけだ。必然的に、劇は台詞中心、役者中心となる。
いきなり引っかかったのは、DJ役の山村真也だ。かなり膨大な台詞を、あまり噛むこともなく喋ってはいるのだが、ミスらない事を重視するあまりか、喋りに柔軟性が欠けている。台詞の強弱や間の取り方がおざなりで、DJらしいメリハリがない。そのためネタとしては面白いギャグを言っても、ほとんど笑い声が起きない。前半は彼の比重が最も高いため、「今回はハズしたかな〜」と頭を抱えたほどだ。

しかし他の4人の比重が増してくると、話にふくらみが出てきて、少しずつ面白くなってくる。

5人の出演者の中でも特筆に値するのは若狭ひろみだ。前作でも実年齢20代とは思えぬおばさん役で強い印象を残した彼女だが、今回も毒々しい演技で他を圧倒している。この人がいなかったら作品全体がずいぶん単調なものになっていただろう。あとの二人の女優、棚橋幸代と矢野トモ子の方がずっと美人だし、演技もしっかりしているのだが、若狭の強烈さの前では影が薄くなってしまう。
もちろんキャラ設定自体が美味しいという理由もあるだろうが、彼女自身の個性によるところも大きいはずだ。前作では役作りとして強烈なおばさんに化けているものと思ったのだが、実はそうではなく、この人は元からおばさんキャラなのだとわかったのが最大の驚きだった。特にあのおばさん声は余人を持って代え難い。どんな人生を送ると、あのような声を獲得することが出来るのだろう。「小学生の時からこの声です」と言われたら、ちょっと嫌かも。
ただし彼女の役は本来一番の脇役であり、その脇役が主役以上に鮮烈な印象を残すことが、この作品のバランスの悪さを示しているのも事実だ。

もっともインベーダーじじいの芝居にバランスの良さなど求めても仕方がない。前作はあまりに破天荒でゴチャゴチャした内容だったため、楽しくはあったが、この劇団の本質がどこにあるのかよくわからなかった。しかしずっと地味な本作を見て、実はそのゴチャゴチャさこそがインベーダーじじいの本質なのだと理解出来た次第だ。前作は複数のストーリー、複数のテーマがゴチャゴチャと詰め込まれ、何がどうなったのかよくわからないラストまで怒濤の勢いで突き進んでいった。本作も「夫婦の愛憎劇」「嫁と姑の葛藤」「メディア風刺」「皇室風刺」「ナンセンスコメディ」「青春ドラマ」など、いろいろな要素が混在し、それが一点に収束することなくエンディングを迎える。前作のように有無を言わせぬ熱気がない分カタルシスには欠けるが、そのゴチャゴチャさを許容出来れば十分楽しめる作品にはなっている。

それにしても、棚橋幸代の役名がなぜ「まちゃこ」なのか、なぜタイトルが『あるやんごとなき夫婦の物語』なのか、彼女の頭がおかしくなるまで気づかなかった私は、鈍すぎですか?


それよりもインベーダーじじいは次回作がメチャクチャ楽しみだ。

2006年1月25日(水)・26日(木) @両国シアターX
『贋作 かもめ(仮)』
チェーホフの名作かもめを山梨県、上九一色村に舞台を移し大胆に脚色した贋作かもめ。オウム真理教で騒がれ、そして廃れた悲劇の村で巻き起こる最高の悲劇にして最高の喜劇。各界の異色なメンバーをキャスティングでお贈りします。

「各界の異色なメンバーをキャスティングでお贈りします」と相変わらず日本語が(英語が?)変だが、まあそれは置いといて、本当に楽しみな内容だ。
ちなみに会場のシアターXは、毎月チェーホフ研究会が開かれている、いわば正統派チェーホフ劇の本拠地。そんな場所で、これほど大胆な脚色が施されたチェーホフ劇を上演するとは、凄い度胸だ。まあ、なるせゆうせいがその事実を知らないだけのような気もするが…
平日2日間のみの公演はいささか辛いが、何としてでも見に行くぞ!


(2005年9月初出)

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Tracked on 09/29/2005 10:58

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