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07/19/2005

【演劇】劇団桟敷童子『博多湾岸台風小僧』2005.7.18 再見

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劇団桟敷童子『博多湾岸台風小僧』
2005年7月18日(月)14:00〜 ザ・スズナリ)


楽日、最終公演を再見した。

まいった。

10日(日)の夜とは比べものにならない窮屈さ(立ち見まで出た)。

そして異常な暑さ。ただ見ているだけで汗が出てくる。


観賞環境としては最悪だったが、それでもラスト30分の巨大な感動は抑えようもない。


また見に行って本当に良かった。


だがアンケートにも書いた通り、今日の舞台を表す言葉はこれしかないだろう。

「熱すぎる芝居、暑すぎる客席」


前のレヴューがほぼ誉めちぎりだったので、今回は少し問題点も書いておこう。


        (以下ネタバレあり)


まず10日の公演と比べて変化があったかと言えば、あった。
ただしそれは悪い方向にだ。
役者が明らかに疲れている。ほとんどの人が以前よりも声が枯れている。何しろこの作品、大きな声で叫ぶ演技がやたらに多い。あれを何日もぶっ続けでやっていれば声が潰れるのも当然だろう。見ていて痛々しいほどだった。
その肉体的な困難を乗り越えようと気力を振り絞る様が、芝居をより一層熱いものにしていたのも確かだ。だが今回の個人的課題の一つは、よく理解出来なかった博多弁の台詞を聞き取る事だったので、前回以上に台詞が聞き取りづらくなっているのはさすがに辛いものがあった。

台詞が聞き取りにくいのが足を引っ張っているのかもしれないが、やはりこの作品、前半はそれほど特筆すべき出来ではないこともわかった。水準以下ではないが、まあ中の上程度の出来。長屋の生活描写など、もう少し短く出来る部分も見受けられた。

この作品が一つの壁を突き抜けるのは、中盤も過ぎたコレラ騒ぎのくだりから。さらに言えば、そのシーケンスの最後に茶山(鈴木めぐみ)が「彼岸花こそ最後に人を救う花だ」と言うところからだろう。この台詞は感動的なラストに直結しているだけに、危うく涙が出そうになった。

しかしそんな問題点も何のその。実質的には「第二幕」にあたる最後の30〜40分は、胸を締め付けられるほどの感動で、客席の窮屈さや暑さも吹き飛んでしまう。


今回特に気づいた点を2つ書いておこう。


まず一つ。手前に現在の倉雄がいて、奥に少年時代の倉雄と姉がいて、それぞれにスポットが当たっている回想シーン。何気なく見過ごしていたが、これは映画では滅多に使われない演出であり、回想の入るタイミングも絶妙である事がわかった。回想シーンというものは、ただの説明に終わったり物語の緊張感を削いだりすることが多いものだが、この作品においては、回想シーン無くしてあそこまでの感動は絶対得られなかっただろう。派手な技ではないが、考え抜かれた秀逸な演出だと思う。


もう一つ。この作品の主役は、構成の上では明らかに倉雄(池下重大)なのだが、実質的な主役は、途中から登場するほいだらべ(板垣桃子)であることがはっきりわかった。最も感動的なシーンは、ほとんど彼女絡みだからだ。脚本/演出の問題だけでなく、その見せ場を見事に演じきった板垣桃子が素晴らし過ぎる。

例えば「一緒にアイスキャンディー屋をやろう!」という倉雄に対し、彼女が言う台詞「何言ってるの…」。
何と言う絶妙なニュアンスを持った台詞回しだろう。
たった一言で、なぜこれほどまでに見る者の心を深くえぐる事が出来るのだろう。

何とか彼女たちを逃がそうとしていた参苧堀(朱源実)と倉雄の前に姿を現し「仲間に別れを告げてきました」と言うほいだらべ。このシーンは、彼女の姿を見て天を仰ぐ朱源実の表情が絶品だ。


あの素晴らしすぎるクライマックスについては言うまでもあるまい。

波のように大きく揺れ動く舞台。
四股を踏むかのように脚を開き、両手を大きく広げ、叫ぶ板垣桃子。
「台風小僧じゃ! 台風小僧じゃ〜!」

何と言う素晴らしい見せ場。

あのシーンを見て板垣桃子に嫉妬しない女優が、この世にいるだろうか?


最後の最後は再び回想になるが、そこに至るまでの一連のシーンも、すべて彼女の一人舞台だ。


最初に見た時は、作品全体に対する感動が大きかったせいで、あまり彼女一人が突出した印象は受けなかったのだが、再見してみると、感動の沸点には常に板垣桃子がいる。

素晴らしい舞台、素晴らしい女優。

本当にもう一度見られて良かった。


もうこうなりゃ王子でもどこでも行ってやろう。

テント芝居でも何でも見てやろうじゃないか。


今年の演劇ベストワンは、おそらくこの作品で決まりだろう。

これを凌ぐものがあるとすれば、それこそ10月の桟敷童子新作以外にあるまい。


(2005年7月初出)

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Tracked on 07/22/2005 23:44

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