【音楽】『WE WILL ROCK YOU』(ミュージカル) 2005.5.27
ミュージカル『WE WILL ROCK YOU』 2005年5月27日(金) 新宿コマ劇場
25日に見たカエターノ・ヴェローゾのライヴがあまりに素晴らしくて放心状態。そのたった2日後に、まったく音楽性の違うクイーンがらみの大イヴェントがあるのは、本当は決して有り難い事ではない。消化不良に陥りそうだ。
そうは言っても今更日程が動くわけでもないし、「それはそれ、これはこれ」とばかり遠足に行く前の小学生のように、前日からウキウキしっぱなし。本家クイーンの最後の来日公演から早20年の月日が流れている(東京公演は3回全部見た)。20年ぶりのクイーン…興奮しないわけがないだろう。
1秒でも早く現場に着きたいと、稲妻のごとく会社から脱出(笑)。しかし3時間の長丁場なので、何か少し腹に入れておこうと思い、新宿地下のサンマルクカフェでパン1つとアイスコーヒーを5分で流し込む。iPodでロンドンキャストのサントラを聴きながら一路歌舞伎町へ。ついつい顔がほころび、足がスキップしてしまう。端から見たら異様な光景だったかもしれん。まあ変わった人には事欠かない歌舞伎町だから特に目立つ事もないと思うが。
靖国通りからコマ劇場に向かう通りには、びっしりと『WE WILL ROCK YOU』の幟が。ここでいきなりカメラを取り出して、あちこち撮影を始める。ますます怪しいオッサンと化す。
だがコマ劇場前まで行くと、劇場の壁面に設置されたフレディ像を携帯カメラで写している人たちが山ほどいる。わはは、みんな考える事は同じなのね。
それにしても凄い人だ。ここでもあちこちバシャバシャ撮影した後、場内へ。どこもかしこも凄い熱気。さすがに初日は、生粋のクイーンファンが大挙して集まっているようだ。
さて、席は何と前から3列目!…のはずが…おいおい、最前列だよ!(^_^;) 前にコマ劇場の座席表を見たら3列目だったのに、「い」と「ろ」がないため、「は」列が最前列になっていたのだ。それもど真ん中!(正確に言えばすぐ隣が完璧など真ん中でその隣) これはけっこうやばい(笑)。コマ劇場はスタジアム形式なので、最前列ど真ん中は、全観客の視線も浴びる事になる。リズムを間違えて変なところで手を打ったりしたら、かなり恥ずかしい。緊張…
荷物を置いてまたロビーへ。再び写真を写しまくり、パンフとキーホルダーと携帯ストラップを購入する。そんなことをやっていたため、パンフを読む暇は全くなかった。
開演前、最前列上手の方にフレディのコスプレ君(ROYさんという、一部では有名な人らしい)が座り、客席に向かって「れろれろれ〜ろ」と始める。ちゃんとそれに答える観客。大受け。コスプレ君の声が途中で裏返るのもご愛敬。彼も素晴らしいが、観客のみんな、ノリが良すぎ。
初日だからブライアン・メイとロジャー・テイラーが挨拶に来るのではという噂もあったが、やはりそれは噂というよりファンの願望だったようで、特に何のイヴェントもなし。19時を5〜6分過ぎた頃、本編が始まった。
いきなりびびった〜。すごい音量と音圧。それも当然。すぐ目の前、ステージの下に設置されてる黒い箱は、これサブウーファーだよ(笑)。終始鳴っているわけではないが、低音を強調した曲になると、わずか50cmの至近距離で重低音を体に浴びる事になる。オープニングの「Innuendu」などまさにそう。ミュージカルなんてものではなく、完全にロックライヴのPAの音圧だ。アドレナリンが全身を駆けめぐる。
始まってすぐに「しまった」と思ったことが一つ。海外ミュージカルなので、ステージの両脇に電光字幕が出るのだが、最前列ど真ん中だと、これを読むのはけっこう無理がある。字幕を読んでいると、役者の動きを見ていられない。まあブラッドベリの『華氏911』…じゃない、『華氏451』をベースにした、ありがちなストーリーなので、大筋がわからなくなることはないが、細かな人間関係や設定は英語のヒアリングだけではちときつい。どうせあと何度か見る事になるだろうから、次は字幕がきちんと読める位置で見る事にしよう。
もっともこの電光字幕、あまり出来がいいとは思えない。翻訳そのものもイマイチなところがあるし、明らかな誤植と思える部分もあった。何よりも字幕の出るタイミングが大雑把で、まだ役者がその台詞を言ってないうちに笑えるネタが出てきて、笑いのタイミングがずれたりする。役者はやりにくかったのではないだろうか。3か月ものロングランなのだから、こういうところは少しずつ改善していって欲しいものだ。
ストーリーだが、グローバルソフト社という大企業によって、生活の隅々まで管理された未来社会が舞台。あらゆる情報がコントロールされ、音楽を聴いたり演奏したりするのも厳重に管理されている。自由を希求する本物のロックミュージックなどもっての他。そんな管理社会の中に、次々と自分の心からあふれ出る言葉(実はロックの歌詞)に悩まされ、アウトサイダーとして苦しむ若者ガリレオ・フィガロがいた。同じように社会からはみ出した少女スカラムーシュと出会った彼は、自分たちの居場所を求めて旅に出る。やがて二人は、古き良き時代のロックを復活させることを目論む反体制集団ボヘミアンズと出会う。ボヘミアンズは、ガリレオがロックをこの世に甦らせる救世主だと気づくが、そこへグローバルソフト社の魔の手が伸びてくる…
すでに書いたように、『華氏451』や『メトロポリス』『リベリオン』『マトリックス』などのSFで語られ尽くしたようなストーリーであり、それ自体には何の新味もない。
だがその物語を、これほど完璧にクイーンの音楽や歴史と融合させた手腕は驚異に値する。クイーンの音楽に対する深い理解と愛情、そして傑出した創作の才がなければ出来ないはなれ技だ。作者のベン・エルトン恐るべし。しかも無闇にクイーンやフレディを神格化するのではなく、しっかりとした批評眼やユーモアも感じさせてくれる。聖歌とも言える「Bohemian Rhapsody」の一部を「ああ、そこはただの言葉遊びだ」と言い切ったり、フレディの道化的な側面をちゃんとネタとして使ったり…そのバランス感覚が絶妙極まりない。
またクイーンに限らず、古今東西あらゆるロックネタのオンパレード。固有名詞はもちろんのこと、ストレートプレイ部分の台詞はしばしばロックの歌詞そのまま。そのネタをちゃんと理解し、反応している観客も素晴らしい。
オープニングの「Innuendu」に続いて、ポップ(ロバート・グラブ)がグローバルソフト社に捕まるストレートプレイがひとしきり。その後GA GA キッズによる「Radio Ga Ga」。このミュージカル、ストーリーに合わせてクイーンのオリジナルから歌詞を大きく変えている曲が幾つかある。この曲はその最たるもの。ほとんど替え歌。それだけに電光字幕があまり読めないのはちょっと辛い。ロンドン版のサントラは持っているが、ライナーに載っているのはオリジナルの歌詞だけで、ミュージカルにおいて変更された歌詞は英語も邦訳も載っていないのだ。まあ聴いてるだけでもある程度はわかるので、特にストーリーの理解に支障をきたすことはなかったけれど。
それにしても最前列。目の前でGA GA キッズが大胆に股を広げてパンツ全開で踊っているのを見ていると、ミュージカルではなくストリップを見ているような怪しげな気分になってくるのには困ったものだ(笑)。
なおこの日本公演は、オーストラリア上演版のキャスト。聞き慣れたロンドン版とは歌手も演奏者も完全に違うわけだが、それぞれに個性の違いはあるものの、どちらも同じくらい素晴らしい。少なくとも日本公演だからと言ってクオリティが落ちているような点はほとんど見られなかった。強いて言うなら、歌に比べて踊りの方に甘さを感じたが、この辺りは徐々に改善されていくだろう。
主人公のガリレオ・フィガロ登場。演ずるのはピーター・マーフィー。そう、あの元バウハウスのピーター・マーフィー!…ではなくて、単なる同名異人。そう言えば顔色が悪い方のピーター・マーフィーは最近何をやっているのだろう? こちらのピーター・マーフィーは、外人とは思えぬスタイルの悪さと、たいして二枚目でもない庶民的な顔立ちで、妙に親近感を抱かせる(笑)。
彼が最初に歌うのは「I Want To Break Free」。その後半を引き継ぐように現れるのがヒロインのスカラムーシユ。演ずるピパ・グランディソンがまた豆タンクという言葉を思い出させるぽっちゃり体型。まさに「ファット・ボトムド・ガール」(笑)。顔もさして可愛いわけではない。しかしこの役を、スタイルの良いお人形産のような美女が演じたら著しくリアリティに欠ける。そういう意味ではまことに正しいキャスティングなのかもしれない。
そして二人とも実に歌がうまい。この点については完璧と言っていい。聞き慣れたロンドンキャストと比べても全く遜色ない。あまりにうまいので、実は口パクなんじゃないかと疑ったほどだが、目の前50センチの場所に腰掛けて歌った時、生の声が聞こえたので本当に歌っているのだとわかった(ただしGA GA キッズの子たちはは口パクではないかといまだに疑っている)。
続く「Somebody To Love」もお見事。本家クイーンですら、4人ではまともに再現できなかった大名曲。フレディの死後、このようなミュージカルやゴスペル隊の導入によって、あの分厚いコーラスを生で再現できるようになったのだから皮肉な話だ。
続いてグローバルソフト社の社長(?)キラー・クイーン登場。迫力はあるし歌もうまいが、小林幸子似(笑)の顔が妙に下世話。場所はコマ劇場だし、実は本人じゃないだろうな(笑)。
サントラではこのあと「Play The Game」が続くのだが、今回はなぜか歌われなかった。代わりに「Now I'm Here」などサントラには入っていない曲が2〜3曲歌われたので、ロンドン版とは多少内容が変わっているようだ。
ロンドン版と変わっていると言えば、このミュージカルは完全に日本仕様になっていて、尾崎豊から紳士服のコナカ、えぼし岩から『冬のソナタ』まで、日本ならではのネタが山ほど盛り込まれている。中には滑っているものもあるが、全体的にはグッドジョブ!
中盤最大の聞き物は、ボヘミアンズが歌う「No One But You」。ストーリーの流れにうまく乗ったせいもあるが、この曲の魅力を最大限に引き出した名演。いまいち気の抜けたオリジナルを遙かに凌いでいる(大体オリジナルは『ロックス』の最後に収録されているのがおかしい。明らかにアルバムのコンセプトからずれている)。
このシーンでは、世を去ったロックミュージシャンたちの名が読み上げられ、演奏中に写真が出たりする。日本版ということで、その中に尾崎豊とHIDE(X Japan)が加えられていたのだが、これは残念ながら場違いだったと思う。日本人スタッフは、クイーンファンと尾崎豊ファンがほとんど重ならないという事をもう少し考慮すべきだったのでは? 尾崎豊の名が出た時に起きたのは「笑い」だったし、HIDEの名が出た時には「誰だっけ?」というかすかな戸惑いだった。ファンの人には申し訳ないが、二人ともジミヘンやエルヴィス、ジャニス・ジョプリン、ジム・モリソン、そしてフレディなどと同列に語られるべき存在ではないだろう。特に尾崎豊は明らかに音楽性が違う。これは日本版ならではの大きなミスだと思う。
ボヘミアンズが一網打尽になり、ガリレオとスカラムーシュが脱出するところで15分ほどの休憩。ごった返すロビー。フレディのコスプレ君は大人気で、たくさんの女の子から一緒に写真を撮って欲しいと頼まれている。微笑ましい。
後半はGA GA キッズの歌う「One Vision」で幕開け。しかしストーリーの展開上、この曲はなくても全く差し支えないだろう。トイレから戻ってこられない人向けに、クッションとして使ったのかな?
そんなことを思う理由の一つは、この「One Vision」という曲があまり好きではないからだ。この曲が発売された当時「ライヴエイドであれだけ盛り上がり、少なくともイギリスとヨーロッパではロックの王座に返り咲いたというのに、そこで出す新曲がなぜこれなんだ?」と溜息をついたものだ。
その頃日本では、クイーンに対してまだまだ逆風が吹き荒れている真っ最中。特にフレディのナルシスティックでカリスマ的なパフォーマンスを「ファシズム」と批判して悦に入っている良識派(笑)のロックファンが多いのにはうんざりしたものだ。そういう連中が崇めていた良識派ロック(笑)とクイーン、どちらがより多くの人に愛され、強い生命力を獲得することになったかは、この20年の歴史を振り返れば明らかだと思うが…
しかしそのような批判にまったく根拠がないかと言えば、実はそうとも言い切れない。クイーンとフレディにファシズムを想起させる要素があるのは紛れもない事実。もちろんそれは結果としてそういう要素も持ち合わせてしまったに過ぎず、まるでファシズムがクイーンの音楽の目的であるかのような見当違いな批判した馬鹿どもを擁護する気は毛頭ない。だが彼らの音楽に潜むファシズム的な要素や、メンバーの政治に対する脳天気な姿勢は、クイーンというバンドを真剣に語ろうとする場合、避けて通れない問題だと思う。
そんなクイーンのファシズム的な側面が一番わかりやすい形で現れたのが、「Radio Ga Ga」のプロモビデオと、「One Vision」の歌詞だろう。1986年という時代において、one true religionやone real decisionを求める無邪気すぎる歌詞が、浅薄で、ある意味反動的にすら聞こえたのは致し方のないことだ。もっともこの「one」という無邪気なモチーフは、その後のアルバム『A Kind Of Magic』でも全面的に展開されているので、本人たちはかなり確信を持って歌い上げていたようだが。
そしてこのミュージカルで面白いのは、その2曲「Radio Ga Ga」と「One Vision」が、共にグローバルソフト社のポリシーを表すテーマ曲として使われている事。「Radio Ga Ga」の場合、歌詞はほとんど替え歌だが、「One Vision」の方はほぼオリジナル通りだ。やはりベン・エルトンは、この歌に潜む危険性をきちんと理解した上で、それに見合った使い方をしたのだろう。クイーンの音楽に深い敬愛を抱きつつも、決してそれに溺れない正しい批評性が感じられる。
続く「Who Wants To Live Forever」も、原曲の良さを遺憾なく引き出した名演。前から思っているのだが、これほどクイーンというバンドのメッセージを端的に表した歌詞はないと思う。この曲でガリレオとスカラムーシュがステージの端に腰掛けて歌う。ちょっと手を伸ばせば触れるほどの距離。さすがに感激。ただしこの状況では、全観客の視線が自分の頭部にも注がれているので少々緊張する。
そこから一転、次の「Flash」で思わず椅子からずり落ちそうになる(笑)。あの曲を一体どうやってストーリーの中に組み込むのかと思ったら…これかい!(笑)。凄い…あまりにも馬鹿すぎる…(笑)。
カショーギやキラークイーンの歌を中心にしたその後の展開もお見事。しかしキラークイーン、何度見ても下世話な顔だ(笑)。
後半で少し気になったのは、ストレートプレイ部分でやけにシモネタが多くなる事。クイーンの音楽、特にフレディという存在にセクシャルな部分は付きものだが、少々しつこすぎると感じられた部分もある。数少ない不満点の一つだ。
クライマックス直前、舞台はレマン湖の畔に(笑)。ここでポップが歌うのが「These Are The Days Of Our Lives」。クイーンの数あるナンバーの中でも、とりわけ人間味溢れる美しい歌。ロバート・グラブはこの歌をガサガサとした声でぶっきらぼうに歌うのだが、これは最初かなり違和感があった。ストーリーの流れから言えば、あの歌い方で正解だろうが、もっと普通な歌い方をしているロンドン版の方が音楽的には間違いなく美しい。ただこの日本版のような歌い方だからこそ、最後の辺りがより一層胸に染みるのも確か。ロンドン版との違いが最も目立った部分だが、やはりここは甲乙付けがたいということにしておこう。
そしてウェンブリースタジアムに到着したガリレオたちが、ブライアンの残した(?)ギター レッドスペシャルを発見し、「We Will Rock You」「We Are The Champions」が高らかに鳴り響くのがクライマックス。ただ残念ながら、ストーリー的に言うと、これはかなりお粗末な展開だ。その後、ロックを武器にグローバルソフト社を叩きつぶすシーンがないと、物語としてのカタルシスは得られまい。そこを必殺の2曲で乗り切って誤魔化してしまうわけだが、やはり安易過ぎる感は否めない。これは本作における最大の不満点だ。
とは言え、もはやここまで来るとストーリーなどどうでも良くなってくるのも確か。全観客が「We Will Rock You」のドンドンパッをやる辺りから、この作品は劇としてのミュージカルであることをやめ、完全にクイーンのヴァーチャルライヴと化す。全ての観客が立ち上がる。凄まじい盛り上がり。この熱狂を前にして、ストーリーがどうのこうの言っている場合ではないようだ。
お待ちかねの「Bohemian Rhapsody」は、言わばライヴにおけるアンコールナンバー。もはや劇の上での役柄など無視して、敵方のキラークイーンやカショーギも参加。全出演者によって、中間のオペラティックパートに至るまで、「Bohemian Rhapsody」がライヴで再現される。これもフレディが生きていた頃のクイーンでは一度も実現しなかったことだ。フレディの喜ぶ顔が目に浮かぶ。
大団円。これで終わりと思いきや、何とさらにもう一曲、「I Was Born To Love You」が披露される。これは間違いなく日本版だけのサーヴィスだろう。
この辺りの会場の盛り上がりは凄まじいものだった。確かに出演者もバンドも素晴らしかったが、この日の主役は会場に詰めかけた大勢のファンだろう。そこにはクイーンの音楽と、それを再現する出演者への深い愛情がみなぎっていた。演じている方も、こんな温かいリアクションを受けて、さぞかし楽しかったことだろう。
思わぬ大サーヴィスによって、ついに全編終了。ところが客が誰も帰ろうとしない。いくら終了のアナウンスが流れても、アンコールを求める拍手が鳴りやまない。後ろを振り返ると、そこには喜びと輝きに満ちた何千という顔、顔、顔… フレディのコスプレ君が「We Will Rock You」のリズムを先導する。あのリズムが会場に響き渡っていく… 感無量だ。
ついにガリレオ役のピーター・マーフィーが登場。アンコールに応えたいけど、もうバンドがいなくなったから…ということで、「We Will Rock You」のリズムを叩き出す。観客が後を引き継ぐ。観客によるドンドンパッをバックに、ピーターがアカペラで「We Will Rock You」をフルコーラス歌いきる。いい奴だな〜(ノ_・。) 思いがけないサーヴィスナンバーに加え、まったく予定外のアンコールまで聞いて、ようやく観客も満足。皆ニコニコした顔で退場していく。
リピーター向けにチケットを割引販売している外の売り場に、大勢の人が群がっていた。それを見ただけでも、いかに皆が楽しんだかわかろうというものだ。僕は最終日直前の日曜にもう1枚チケットを買ってあるが(また最前列だ)、金券屋かオークションで安いチケットを手に入れて、その間にもう1〜2回見に行きたいと思っている。最前列でなくては得られない楽しみは山ほどあるが、会場全体の雰囲気は掴みにくいし、左右のブースにいるバンドや電光字幕は見えにくい。今度はもっと後ろの席で別のアングルから楽しませてもらう予定だ。
とは言え、この異常な盛り上がりは、熱心なファンが集まった初日ならではのことだろう。安いチケットが手に入りそうなのは、梅雨時の何でもない平日の夜だろうが、そんな日はおそらく席もガラガラだろうし、こんな盛り上がりはまず期待できまい。まったく別物のように盛り下がっている可能性すらある。その点だけは覚悟しておこう。
冷静に振り返ってみると、クイーンをまったく知らない人がこのミュージカルを見た場合、どんな感想を抱くかは少々微妙だ。特にストレートプレイの部分は、ファンなら当然知っているエピソードを基にした台詞が多いだけに「周りの人間がなぜ笑っているのかわからない」という疎外感に襲われる可能性もあるだろう。
だがクイーンのファンなら、確実にこの芝居を楽しめるはずだ。カヴァーは難しいと思われていたクイーンナンバーの数々を、時にはオリジナルを超えるほどの演奏で次々と聞かせてくれるのだ。これで楽しめないはずがない。もしあなたがクイーンのファンなら、チケット代が高いなどと言わず、何を差し置いても見るべきだ。少なくともこの初日に関しては、12600円のチケット代を安いと思ったほどだ。
熱心なファンであればあるほど楽しめるだろうが、演奏曲は『グレイテストヒッツ』に入っているような有名曲ばかりなので敷居はそれほど高くない。もっと一般的に60〜80年代のロックファンで、クイーンの音楽もその流れで耳にしているというレヴェルでも十分だと思う。
ともあれ予想以上の楽しさと、音楽的なクオリティの高さに大満足。
とても幸福な3時間だった。みんなありがとう。また会いにいくよ。
(2005年5月初出)


Comments
こんばんわ、TBありがとうございました。すごい長文ですね、一気に読ませていただきました。 シモネタが多いのはやっぱり脚本家のペン・エリトンだからでしょうか、90年ぐらいから彼のおバカコメディ番組が大好きですが、そりゃもうお下劣な場合多しで。。。でもまとめるところはまとめるのが「さすがだな」と思います。
他にもいろいろ観ていらっしゃるのですね、これから通わせていただきます。
こちらからもTBさせていただきました^^
Posted by: toto | 06/02/2005 at 01:09
わーお!本物がいた!!(笑)。
そーなんですか、初日はそんなに・・・・!
やっぱりファン必見・必体験の公演ですよね。
QUEENを知らない私でも超もりあがりました。
TBありがとうございました。
Posted by: しのぶ | 06/02/2005 at 12:41
TBありがとうございます。
初日はトクしましたね~!
私は土曜日でしたが、QUEENファンでも、
とっても楽しかったです。
だって、涙が出ましたもん。。(^^;
たしかに、尾崎とHIDEは笑っちゃいました。
Posted by: ジュリママ | 06/02/2005 at 15:06
TBありがとうございました。
同じ日にいらしたんですね。細かいレポにそうそうとうなずきながら拝読しました。
私もオークションでチケットを見つけようと思っていますが、席にこだわりたいしでなかなか安くはゲットできそうにないです…。
中央の通路近くで見ましたが、そのあたりが観客のノリも見えてとてもよかったですよ。
Posted by: gillian | 06/02/2005 at 15:24
TBありがとうございます。
熱く語られていて、一気に読みました。
2日目でしたが、私も最後はミュージカルだというのを忘れ、コンサートのアンコール状態で歌っていました。
モーリス・ベジャールの『バレエ・フォー・ライフ』は見られていますか?
コチラもオススメです。
Posted by: Yaesen | 06/02/2005 at 18:30
こんばんは
TBありがとうございます
初日は凄い盛り上がりだったそうですね
私も今月観に行くのですが、このレポを読んでますます行きたくなってしまいました。
Posted by: フブロジ | 06/02/2005 at 19:20
TBありがとうございました。
アカペラでアンコールとは、初日の盛り上がりは凄かったんですね。
私が観たのは平日昼間だったし、そこまでは凄くはなかったですが、それでも大盛り上がりですっごく楽しめました。
既に後2回分のチケットを購入してしまいましたよ。
Posted by: カモミロ | 06/04/2005 at 22:58
ぼのぼのさんへ
トラックバックありがとうございます。
私も写真をとりまくってました。大画面にフレディが出てくるまで、パチンコ屋の前でフリーズ状態でした。きっと公演のある日はこんな変なファンがいっぱいいることでしょう。
私が行った28日はROYさんのような方がいなかったせいか、「この辺から拍手しちゃっていいかな」「この辺から歌ったりしてもいいかな」とみんな様子をうかがっているような微妙な雰囲気がありました(笑)
こういうのは日本人的なのかもしれせんね。
Posted by: きょろぴ | 06/05/2005 at 19:08
Badlandsさんへ
ミュージカル『WE WILL ROCK YOU』の感想を読ませてもらった者です。少しお伺いしたいのですが夜の部と昼の部ではどちらがオススメですか?小学生と中学生の「第2次クイーンファン」の子供たちも一緒に見るのですが。最前列で字幕が読みにくかったとのことですが、「わ」の60番(中央ブロックの右隣のブロックで、前から12列目、1~4扉の前の席)と、「か」の74番(一番右のブロックで、同じく1~4扉前)ではどちらが良いと思われますか?それとも違いがあると思われますか?見ず知らずの方に突然お伺いしてスミマセン。感想を読んでるうちに、ますますワクワクしてきて、新宿コマが鮮明に頭に浮かびました。すごい文章力ですね。遠くから新幹線で行くもので、できるだけコンディション万全に見たいものですから。あと、オペラグラスは必要ないですか?あつかましく質問攻めですみません。よろしければおしえてください。
Posted by: おかぴ | 06/11/2005 at 18:11
はじめまして、おかぴさん。
一つ一つ答えていくと…
★夜の部か昼の部か?
土日だったら、どちらもそれほど変わりないでしょう。ただし平日の昼間は、お客さんが少なくて盛り上がりに欠けると思うので、夜の方がいいと思います。
ただ問題は、小中学生のお子さんを連れて行かれること。場所はあの歌舞伎町です。最近客引きなどの取り締まりが厳しくなって、一時よりマシになったと言われますが、やはり子どもにはあまり見せたくない光景がたくさんあります。その点に関しては、夜よりも昼の方が遙かにマシでしょう。
結論としては、子ども連れであれば土日の昼間がいい、ということになります。
★座席はどちらがいいか
http://www.f-m-c.co.jp/zaseki.html
僕はできるだけ真ん中で見るのが好きなので、より真ん中に近く、一列とはいえ前の席である「わの60番」をお勧めします。
★オペラグラス
持って行った方がいいでしょう。この距離では、役者の細かい表情までは読み取れないでしょうし、両脇にあるバンドブースを見るのにも役立ちます。
どうか楽しんできて下さい。
ちなみに「Badlands」はブログの名称で、書いている私は「ぼのぼの」というハンドルを使っています。
Posted by: ぼのぼの | 06/12/2005 at 01:40
はじめまして。クイーンはよく知らないがWE WILLに盛り上がってしまった者です。
熱く丁寧なレポ読んで、またもや興奮してきてしまいました(笑)。
私が観た回は>外人とは思えぬスタイルの・・・(爆!)ピーターではなかったので、また足を運んでぜひピーターに会いたいですわ。
あ、TBさせてください。クイーン知らずのおなごがどう感じたか参考にしてくださいませ~。
Posted by: ハルチ | 06/12/2005 at 18:17
ぼのぼのさんへ
ありがとうございました。決断のきっかけを下さったことに感謝いたします。後は当日までワクワクしながら待つのみです。ぼのぼのさんのレポ、何度読み返してもますます期待を高まらせてくれますねー。私も早くその仲間入りを果たしたい!こまごまと教えていただきありがとうございました。埼玉で行われるというコンサートにも行きたいものです。
Posted by: おかぴ | 06/12/2005 at 21:07
はじめまして。TBありがとうございます。
初日レポート、楽しく拝見しました。盛り上がった客席の様子が伝わってきて(うらやましいー)
また観たくなってしまいました。わたしが観た日は、ガリレオ役はダブルキャストの
ダニエル君という方でした。控えであの巧さ!本役さんの公演が楽しみです。
また遊びに寄らせてもらいますね。
Posted by: かこ | 06/12/2005 at 22:56
私もカエターノ行きました。そしてWE WILLでは、ぼのぼのさん同様「は」列=最前列だったんです。
というわけで、思わずTBさせていただいてしまいました。すごい文章量ですね。
Posted by: spoonful | 06/13/2005 at 13:12
はじめまして。昨日WE WILL ROCK YOUを観て参りました。
実に完璧な実況ブログで読ませますね。僕はただ単に言いたいことを書いたに過ぎませんが(TBさせて頂きました)、
もし良かったら、ちょっと覗いて頂ければと思います。どうぞよろしく。
Posted by: がぶ@こーき | 07/08/2005 at 23:14
TBありがとうございます。詳細にレポートされていて驚きました。
自分も前から3列目で観たので、字幕を読むのが辛かったです(笑)。その分、ステージの迫力を思う存分楽しめました♪
次に行く機会があれば、中央列付近の全体を見渡せる席で、観たいと思ってます。
Posted by: iso800cc | 07/09/2005 at 00:16
私も「WE WILL ROCK YOU」を見てきました。私の座った席はステージから6列目の左端、バンド(ドラム、ギター、ベース)の目の前でした。この舞台の魅力はやっぱり生演奏でしょう!と思ったほど。(得にANDREW SWANNのドラムが素敵!!その夜、彼が夢に出てきました。)役者さん方には申し訳ないですが、「WE WILL ROCK YOU」の曲までは、私は舞台側より演奏者に釘つけでした。でも「WE WILL ROCK YOU」のどのホームページを見ても演奏者の特集が組んでいなくてがっかり。あの演奏はもう一度聞いてみたいと思いますが、舞台が...。歌はあんなに迫力があって上手いのに、ストーリーが台無しにしてしまっているような気がします。字幕もおちゃらけ過ぎ?(この舞台にこういう笑いは期待していないという笑いが多かったです。)
Posted by: そめ | 07/09/2005 at 16:09
先日は、偉そうなことを書いてしまってすみませんでした。私の後、誰も続かないところを見ると、私のコメントはキツ過ぎたのかなと・・・。ですが、同じクイーンのファンとして、高いお金を払ってでも見たいと思っていたファンにとって、「無理してでも来て良かった。素敵だった。」と素直に思えるものであってほしかったのは事実です。ロックだもの、フレディーだもの、多少の過激な表現は”らしくていい”と思うのですが、替え歌が多かったり、単に日本人ウケすればいいだろうというおちゃらけた発想が多かったのは、クイーンそのものの質まで下げてしまっているようで、それが我慢できませんでした。歌や演奏はとても満足の行くものだっただけに、本当にもったいなくて・・・クイーンへの想いがあるからこそ、あえて言わせてもらったということをわかってください。
Posted by: そめ | 07/29/2005 at 01:27
TBありがとうございます。
なんだか恐縮してしまいます。
深い洞察ですね。
以後、さらに磨きをかけます!
Posted by: hakachan | 08/30/2005 at 02:16