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06/24/2005

【映画】『オーシャン・オブ・ファイヤー』に男泣きする

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予告編やポスターを見ても「インディ・ジョーンズの二番煎じ」「古くさいB級の冒険アクション」そんなイメージしか湧いてこなかった。当然見る気もなかった。
ところが雑誌などを見ると、妙に評判がいい。宣伝では「ヴィゴ・モーテンセン主演」という文字ばかりが躍っているが、監督は誰かと思いきやジョー・ジョンストンである。しかもあのオマー・シャリフが久しぶりに大きな役で出演している。評判からして、少なくとも箸にも棒にもかからない作品ではないだろう、とりあえず見てみるか…そんな気持ちで見に行った。


見て愕然。

すっげえベタ。

すっげえゆるい。

すっげえ嘘くさい。

すっげえご都合主義。


にも関わらず泣いてしまうのだよ…


本編クライマックスまでは何とか耐えた。

ところが最後に「あれ? まだ続くの?」とばかりに始まったエピローグ…

もうあそこでダメ。

殺られた。降参。

俺はこういうのに弱いんだってば。


上映時間は2時間16分もある。ださい。なぜこんな娯楽映画にそんな長い時間が必要なのか。

特に導入部が長い。レースが始まるまでに45分もかかってる。全然ダメだよ、これ…最初のうちは文句タラタラ。

ところが、この嘘くさいベタベタな映画には、それだけの上映時間が必要だったのだ。このまったりとした展開の中で、ゆるゆるなアクションや、あまり緊張感のない砂漠のレースを見ているうちに、他愛なくも感動的な物語世界にすっかり引き込まれてしまうのだ。

普通傑作と言われる映画は、問答無用と言わんばかりの強引さで、見る者をその世界に引きずり込んでしまうものだ。ところがこの映画は、それとは正反対のまったりとした雰囲気で見る者を物語で包み込むんでしまう。まるで「北風と太陽」の太陽のようだ。
途中でふと時計を見たら、あと残り45分。「45分? あとせめて1時間、できれば1時間半、この調子で見ていたいよ」と思ってしまったのだから恐ろしい。

ストーリーをごく簡単に説明すると、あるカウボーイが、自分の愛馬とともにアラビアの砂漠で開催される耐久レースに出場するという物語。そこにカウボーイの屈折した過去や、異教徒同士の反目と友情、そして何よりも主人公と愛馬の友情と誇りのドラマが展開する。
いかにもアメリカ映画らしい「張った伏線はすべて使い切ります」と言わんばかりの古典的なドラマツルギー。基本的には勧善懲悪の原則に則った、わかりやすいキャラクター構成。臆面もない『アラビアのロレンス』へのオマージュ。無意味なほど高らかに鳴り響く音楽…すべてがベタベタである。

ところが、その限りなくベタな古典的娯楽映画の枠内に、隠し味のように現代的な陰影が織り込まれている。そしてエピローグに至り、実はその陰影からの解放、言ってしまえば「魂の救済」こそ、この映画の真のテーマだったことが明らかになる。

わずか5分程度のエピローグ…それ描くために、そこまでの2時間以上があったようなものだ。しかもそれをあのような「絵」で語りきってしまうとは。いや、あのような「絵」を撮りたいがために、この映画を作ったのだろうか。

ダメだ。今思い出したら、また泣けてきた…


ヴィゴ・モーテンセン…意識してやってるのか、それともこれしか芝居ができないのか知らないが、『ロード・オブ・ザ・リング』のアラゴルンと限りなくキャラクターがかぶる。しかし西部男としての外見は、『天国の門』のクリス・クリストファースンにそっくりだ。これもジョンストンたちの先達へのオマージュなのだろうか。
そしてオマー・シャリフ…これが遺作になったとしても本望だろう。


多分ほとんど話題になることもなく、GW映画の谷間に埋没していく作品だろう。だがもしあなたが「いかにも作り物だけど、作り手の愛情や心意気が感じられる映画」が嫌いではなかったら、だまされたと思って見て欲しい。

「確かにベタだ。確かにゆるい。確かにご都合主義だ。…でも、確かに少し泣けるかも」2人に1人くらいは、そう言ってくれるような気がする。


誰が何と言おうと、僕はこの映画が大好きだ。


(2004年4月初出)

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