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06/17/2005

【映画】『鉄道員 ぽっぽや』短評

こういう映画を求める人がいることはわかる。こういう映画に感動し、涙を流す人がいることもわかる。

だが僕にとっては必要のない映画だった。メリハリを欠いた退屈な映画にすぎなかった。

僕はこの曖昧なお涙頂戴に耐えられない。もし乙松が本当にぽっぽやとしての人生に誇りを持ち、その生涯を肯定していたのなら、妻や子供を死なせたという悔恨もすべて踏まえた上で、自らの人生に対し「時よ止まれ、お前は美しい」と言うべきではないのか? どんな人生にも光と影の両面がある。なのにこの映画は、その影の部分を幽霊譚というファンタジーで甘く包み込み、人生の過ちを曖昧な形で許してしまうことで、結果的に乙松のぽっぽや人生に対する誇りまで矮小化しているようにしか思えない。予定調和としか言いようのないラストの死が、その想いにますます拍車をかける。

ぽっぽや人生を全うした乙松にとって必要なのは「癒し」ではなく「償い」だったはずだ。そのためにも彼は辛い余生を生きていくべきだった。こんな都合の良い、光の部分だけの人生を見せられても、僕にはただの絵空事としか映らない。絵空事なら絵空事で、それなりの描き方というものがあるはずだ。

いろいろな意味で「卑怯」な作品だと思う。


(1999年7月初出/2001年1月改訂)

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