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06/13/2005

【映画】『ゴースト・ドッグ』短評

とても愛しい映画。『葉隠』に心酔する黒人殺し屋の姿に、最初こそ奇異な印象を覚えるものの、その向こうに透けて見える孤独感に、次第に胸が締め付けられてくる。熊の密猟者に対してゴースト・ドッグが怒りを爆発させるシーンと、息を引き取る寸前に言う「見たいものは全部見た」という台詞には、特に目頭が熱くなった。
ジャームッシュならではのオフビートなユーモア(あのマフィアのボスたち最高!)、言葉の通じないハイチ人との奇妙な友情、そしてスタイリッシュなアクション・シーンの素晴らしさについては言うまでもない。2回目の鑑賞時には、殺される前にヘンリー・シルヴァがスーツの前をきちんと正す静かな所作や、銃の照準器に止まった小鳥を見て思わず微笑んでしまうゴースト・ドッグの表情など、幾つもの細かな描写にグッときた。

しかしあまりにも物静かで淡々とした作品だけに、今回初めてジャームッシュ映画を見たというような人が、一挙に彼のファンになるかどうかは疑問だ。また僕が愛して止まぬ前作『デッドマン』と比べた場合、やはりインパクト不足の感は免れない。それでも愛しくて、切なくて、可愛らしい映画だ。


(2000年1月初出/2001年1月改訂)

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