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06/08/2005

【音楽】三上ちさこ/GROUP/ART-SCHOOL/54-71 ライヴ 2005.5.31

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三上ちさこ/GROUP/ART-SCHOOL/54-71 ライヴ
2005年5月31日(火) 新宿LOFT


「SHINJUKU LOFT 6th ANIVERSARY"Tony & Manny presents RHYTHM OF FEAR" 」と題されたイヴェント。要するに新宿LOFTの開店6周年を祝うものだ。と言ってもLOFT自体は1970年代にオープンした老舗中の老舗で、出演者の名を挙げただけで日本のロック史が半分くらい完成してしまうほどの歴史的なライヴハウス。6周年というのは、かつての西新宿から今の歌舞伎町に移って6年という事だ。
http://www.the-shinjuku.ne.jp/CONTENTS/BUSICUL/LOFT/nenpyo.html

西新宿の店に行った事はあるが、歌舞伎町に移ってから行くのは初めてだ。場所はコマ劇場の裏手。コマの『WE WILL ROCK YOU』は平日にも関わらず、かなり賑わっているように見えた。しかしこのペースが3か月続くかどうか不安だ。がんばれよ。また応援に行くからな。

初めて足を踏み入れる歌舞伎町のLOFT。まだやっと6年とは思えぬほど小汚い。いかにもLOFTだ。天上は低いが、スペースは思ったよりも広い。客はそれほど入っていない。三上ちさこ、ART-SCHOOL、54-71はそれぞれクアトロでワンマンをやったことがあるのだから、もっと客が押しかけても良さそうなものだが、最後までそれなりの入り。やはり対バンありだと逆に皆来なくなるのかな。おかげで快適に見る事ができた。
客層はさすがに若いが、皆意外なくらい大人しい。馬鹿騒ぎをしたり、酒を飲んでくだを巻いたり、目当て以外のアーティストになるとおしゃべりを始めたりするような輩は皆無。西新宿の時代からは考えられない事だが、出演者のカラーの違いもあるのだろう。ほぼ半々の男女比も良い方向に作用したように思われる。良い傾向だ。


              *


トップバッターは三上ちさこだ。もちろん僕にとっては彼女が最大のお目当て。fra-foa正式解散後初のライヴだけに、今後の彼女の方向性が見いだせるかどうかが最大の注目点だ。ソロアルバム『わたしはあなたの宇宙』は、明らかにfra-foaよりも落ちる楽曲と、ビョークの出来損ないのようなプロデュースにガッカリしたが、その後に出た別テイク/ライヴテイク集『わたしはあなたの宇宙/破壊編』を聴いてだいぶ印象が変わった。曲自体の出来はやはりfra-foa時代の名曲に及ばないものの、オリジナルとは違う生々しいロックサウンドに生まれ変わり、ちさこのヴォーカルもエモーショナルになったことで、歌が格段に心に響くようになったのだ。特に「孤高の空」はかなりのものだ。この方向を推し進めていけば、ソロでもかなりいい線まで行けるかもしれない…そう思った後だけに、今回のライヴは見逃すことが出来なかった。

姿を現したちさこは、妖艶なまでに「女」を感じさせたクアトロの時とは一転、まるで男の子のようにカジュアルなファッションとヘアスタイル。『宙の淵』時代の中性的な雰囲気に戻った感じだ。もっともちさこがあそこまで濃厚に「女」のフェロモンを発散していたのは、2月のクアトロ公演だけなので、逆にあの時は一体何があったのだろう?と考えた方が妥当なのかもしれない。

1曲目はいきなり新曲。「会いたい 会いたい 会いたいよ」というような歌詞を持ったリズミカルな歌を、気負うことなく歌い上げるちさこ。バンドもそれを的確にサポートする。さすがに2月よりも、ちさことバンドのコンビネーションが良くなった印象を受ける。

2曲目は「孤高の空」。ソロの中では最も好きな曲だ。やはりこれはいい。壮大で切ないメロディーは、間違いなく『13 leaves』の発展型だ。解散ライヴを見た後、fra-foaの曲ではなくこの曲を無性に聴きたくなったことが、今でも忘れられない(もちろん『破壊編』のヴァージョン)。

3曲目は「咲かない花」。元々fra-foa用に作られたもので、昨年の下北沢でも演奏されたアップテンポのナンバー。これは2番目に好きな曲だ。一番パワフルでロックらしいナンバー2連発。やはりちさこ自身、ロックらしいエッジを失った『わたしはあなたの宇宙』のプロデュースを失敗だったと思っているのではないだろろうか。『破壊編』などという別テイク集を出したり、短期間の内に2枚目のアルバムのレコーディングに取りかかったりしたことからも、それが伺える。

しかしここまでの演奏を聴いている内に、なぜこのバンドがfra-foaに及ばないのか、一つの理由が分かった。
fra-foaの大きな魅力は「静と動」がドラマチックに交錯する曲構成と演奏だ。そこに「生と死」あるいは「愛と喪失」を歌うちさこのヴォーカルが乗ることで、わずか5分程度の曲が壮大なドラマ性を持って鳴り響く。「青白い月」はその最たるものだ。
そんなfra-foaの叫びと囁きを聞き慣れた耳には、ちさこバンドのサウンドは、静と動の対比が少なすぎて陰影に乏しい印象を受ける。どの曲も、ちょっとアレンジを変えるだけでもっとドラマチックな対比が生まれるはずなのに、fra-foaとの差別化を図るためだろうか、「静」の部分を作るのを拒否するかのように音が詰め込まれている。特に「咲かない花」では2本のギターがほとんど同じようなリフばかり弾いていて、これではツインギターの意味がないだろうと思った。
このような演奏はちさこ自身の意向によるものだろうが、なぜあえてfra-foa時代の美点を排除しようとするのだろう? 謎だ。

MCを挟んで再び新曲。タイトルは「解放区」と言っていたように聞こえた。
これがなかなか面白い曲で、ある意味今回の目玉だったと言えるかもしれない。奇妙なポリリズムの上に、ナイン・インチ・ネイルズを思わせるインダストリアルなサウンドが乗ったような曲。ROVOの「REOM」にも少し似ているかもしれない。最後は尻切れとんぼな感じで、まだ未完成な印象が強いが、今後ライヴを重ねていくことで様々な発展を遂げていく可能性が感じられた。

続いて「Hole」と「Fundamental」。この2曲もアルバムに比べれば格段に良くなっている。特に「Fundamental」は強い生命力が感じられ、最初からこういうパワフルな演奏でアルバムに入れれば良かったのにと思わずにはいられなかった。

最後の「神の樹」におけるアンビエントな演奏は今ひとつ。やはりこの手のビョークっぽいサウンドは、ちさこに合うようでいて合わないと思うのだが…


全体的に思ったことだが、ちさこが今やろうとしているのはリズムの探求ではなかろうか。それを最も象徴するのは、もちろん4曲目の新曲だ。あのような演奏は、確かにfra-foaというバンドでは難しかっただろう。他の曲も、メロディや歌詞の面では物足りないものを感じる反面、リズムに着目すると何かしら実験的な試みがなされていたりする。だとすれば、その方向性を推し進めることで、fra-foaとは違った面白い音楽を生み出す可能性もあるだろう。最大の注目点だった「今後のちさこの方向性」は、確かにかいま見ることが出来た。

しかし気になったのは、すでに述べたように「静と動の対比」というfra-foa時代の大きな魅力を蔑ろにしていることだ。バンドは2月に比べればだいぶ良くなっていたものの、やはりちさこの言うことを忠実に守っているだけで、ヴォーカルとバンドの化学反応は感じられない。演奏中に、ちさこが右のギターに何かを指示したりする光景が何度か見られた。未だにバンドメンバーの紹介を行っていないというのも驚きだ。このバンドにおいて、ちさこは相当なワンマンを押し通しているのだろう。逆にそのような姿勢が通らないことでfra-foaを見限ったのかもしれない。ミュージシャンなのだから強い自己主張があるのは当然だし、ソロともなればある程度ワンマンになるのは仕方ない。しかし過ぎたるは及ばざるがごとし。fra-foaは確かにちさこを中心としたバンドだったが、ちさこさえいればあとは誰でもいいというバンドでは決してなかった。時には自らを殺し、他人を生かすことで、自らが生きることもある。ちさこがバンドのメンバーとより双方向的な協力関係を築くことができれば、今よりもっと良い音楽が生まれてくるのではないだろうか。

とは言え、2月に比べれば演奏内容は格段に良くなっていた。何よりもソロとしてのはっきりした方向性が感じられたのは多きな収穫だった。次のライヴが待ち遠しい。

ところでちさこ、曲の合間に何度か鼻をかむため舞台の袖に引っ込んでいたが、あれは何? 風邪? 


2005年5月31日(火)セットリスト 約40分 

1.(新曲)
2.孤高の空
3.咲かない花
  (MC)
4.(新曲)
5.Hole
6.Fundamental
7.神の樹

http://www.mikamichisako.com/


            *


お目当てのちさこを最初に見てしまったので帰ろうかとも思ったが、せっかくだから次のバンドも見ていくことにした。一つには、なぜか休憩時間中の音楽が『スター・ウォーズ』や『ロッキー』など、懐かしの映画音楽だったせいもある。ライヴハウスのばかでかいスピーカーから大音量で吐き出される『スター・ウォーズ』のテーマは、さすがに迫力がある。


2番目に出てきたのは、GROUPというふざけた名前のバンド。4組の中で、この連中だけ知らなかったので、「ここは休憩時間」という感じで後ろに下がって見ていた。


ところがこのバンドこそ、この日の最大の収穫だったのだから、本当に世の中はわからない。


ギター×2、トランペット、ソプラノサックス、ドラムス、ベースの6人によるインストバンド。音楽性は強いて言うならクラブ系のジャズになるのかもしれないが、その手の軽くダンサブルな乗りとは一線を画している。むしろ「音響派」や「ポストロック」という言葉を持ち出した方がいい気もするが、いずれにせよ特定のジャンルへの分類は極めて難しい。

だが僕がこのバンドを一発で気に入った理由は明らかだ。

ミュートビートが甦ったとしか思えなかったのだ。

もちろん表面的な音楽性は違う。レゲエのリズムではないし、ダブの手法も使われていない。リード楽器は同じトランペットだが、逆に言えば似ているのはその点くらいだろう。

にも関わらず、僕は彼らのサウンドにミュートビートの音楽に通じる、強固な「音楽的意志」とでも言うべきものを感じとったのだ。

あまりに不意打ちの出会いだったので、細かなレポートはしようがない。

とにかく僕はしばらくこのバンドを追いかけることになりそうだ。残念ながら、今現在HPには次のライヴの予定が書かれていないのだが…

http://home.att.ne.jp/apple/group/


            *


最初の2組で、もう十分に元は取った。そろそろ夕食を取るため外に出たかったが、今度は休憩中の音楽にレッド・ツェッペリンが流れる。しかも聴いたことのないライヴ音源。「移民の歌」から「ハートブレイカー」そして「ブラックドッグ」へ。これでは帰れるはずがない。今日のDJは、なぜか僕のツボを心得ている。


3番目はART-SCHOOL。このバンドのファーストアルバムはなかなか良かった。以前fra-foaと対バンをしたこともあるはずだが、僕がライヴを見るのは初めてだ。

演奏は、ツインギターのソリッドなロックサウンドに青臭いヴォーカルが乗るスタイルで、以前と変わっていない。知らない曲はセカンド以降の曲だろうが、ファーストの曲の方がロックらしいダイナミズムに溢れていて魅力的だ。客の反応も古い曲の方が良かったように見えた。

演奏は非常に安定している。だがこうしてライヴに接してみると、その器用さが逆にこじんまりとした印象につながっていることも否定出来ない。やっているのは疾走感のあるロックだが、きちんと整備された陸上競技のトラックを走っているような印象で、それを超える破天荒な勢いが感じられないのだ。

音楽自体は好きだし、ヴォーカル/ギターの木下の生真面目な姿勢にも共感を覚える。だがそのあまりに優等生的な佇まいが、高い音楽性を持っているにも関わらずブレイクしきれない原因なのだろう。


http://www.art-school.net/index.html


            *


ART-SCHOOLが終わるとすでに22時。最後の54-71まで見ていくと、23時過ぎまで夕食にありつけない。54-71は前にfra-foaのゲストで一度見ていることだし、今回の休憩は特に興味を惹かれる音楽もかかっていない。腹減った。疲れた。さすがに帰ろうかと思う。


すると目の前を可愛い女の子が通る。

単に可愛いというのではない。

周りの誰とも違う、青白いオーラのようなものを身にまとっている。

思わずその子に目が引き寄せられる。

うん? どこかで見たような…

そりゃ見た事あるだろ。

ちさこだよ…


最初に出演したのは、早く帰って花ちゃんの面倒見るためだと思っていたが、違ったようだ。今頃旦那が花ちゃんの子守かいな…

ともかく彼女は54-71のライヴを見ていくようだ。


仮に会場に長谷川京子がいても知った事じゃない。

中島美嘉がいてもどうでもいい。

伊東美咲がいても夕飯の方が大切だ。


だがちさこがいるなら話は別だ。


かくして夕食も取らぬまま、54-71のライヴを見る事になる。


さて、54-71のライヴなのだが…


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(^_^;)


いつの間に彼らはこんなバンドになっていたの?(笑)


fra-foaライヴのゲストで見た時には、ヴォーカル、ギター、ベース、ドラムスの4人編成。メンバーが一人抜けたのは小耳に挟んでいたが、それはギターだったらしい。今は3人編成のまま。だがそうなると楽器はベースとドラムスだけ。いくらあの変態的リズムの絡み合いがサウンドの要だと言っても、リズム楽器とヴォーカルだけで1時間のライヴが成立するのかと思いきや…

まずギターはおろかヴォーカルまでなくなっていた(笑)。かつてヴォーカリストだった人物は、キーボードとパフォーマンスだけを担当していた。そのキーボードも、メロディーやコードを奏でると言うよりは、ほとんど打楽器のような使われ方。

そしてパフォーマンスだが


・・・・・・・・・・・・・・お上品な私にはとても書けません(笑)。


何回もステージからフロアに降りてくるのだが、そういう時普通ならミュージシャンを取り囲むものなのに、彼の場合みんな避けるのね(笑)。近くの女の子が「怖い」と嫌がってたが、そりゃ男の俺だって怖いよ!(^^;) 遠くで見ていれば笑えるけど、近くに来られると「抱きつかれたどうしよう(^^;)」とあせるわ。

ベースとドラムスの奇妙な絡み合いは、確かに唯一無二の54-71サウンド。2つのリズム楽器とキーボードだけで緊張感を途切れさせないのは、やはり凄い。ただそれ以上にあのパフォーマンスが強烈すぎて、音は二の次という印象になってしまったのも確かだ。

いつからこういうことになったんだと後で調べてみたら、驚いたことに54-71はもともとインストバンドだったらしい。彼がちゃんとヴォーカルを取っていた時期こそ、54-71にとっては特殊な時期だったわけか。

前回以上に強烈と言えば強烈なライヴ。ひょっとして毎回こんなことをやっているのか? 文字通り怖い物見たさで、また見てみたくなってきた(笑)。

http://www.54-71.org/
http://sound.jp/54-71/


この間ずっとちさこの近くで見ていたが、天地神明に誓って一切おかしなことはしておりません!(^^;)
しかし近くで見ると、ちさこは本当に小柄で細い。そこらにただ立っていたら女子高生にしか見えないほど若い。一児の母にして、あの透明感…う〜む、ちさこ恐るべし。
終演後、別の出口から出たはずなのに、階段を上るところでまた一緒になった。気を抜いたところでいきなり出くわすと、さすがにドキッとしてしまう。彼女は地上へ出た後、携帯をかけていた。花ちゃんの様子でも確認しているのかな。少々名残惜しかったが、それ以上後ろを振り向くことはせず、歌舞伎町を後にする。

すでに23時過ぎ。仕事帰りに、夕食も食わず4時間のライヴはさすがに疲れたが、それだけの価値はあった。これで前売り2500円+ドリンク代500円は安すぎ。15年以上LOFTには来ていなかったわけだが、こういうものを経験してしまうと、こまめにスケジュールをチェックしてみようかなという気分になってしまう。


(2005年6月初出)

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Comments

TBありがとうございます。
またまた、分析を加えた記事、
すごいなぁと思いつつ読ませて頂きました。
調子が悪くてすぐに帰ってしまったので、
その後の様子もわかって嬉しいです。
ちさこさん(2度も!)間近で見れたのですね!うらやましいです。
本当に小柄で、びっくりしてしまいます。
お疲れ様でした!

Posted by: ふるふる | 06/09/2005 at 23:42

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