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06/03/2005

【映画】『スター・ウォーズ エピソードI/ファントム・メナス』短評

まったくもって、ケチをつけ始めたら止まらない作品である。

・「演出がたるい」と言われているが、それ以上に脚本が「最悪」。20分ほどのエピソードを次から次へと何の脈絡もなくつなげただけのような構成は、「劇的」という言葉から100万光年の彼方にある。

・その上不必要なシーンがあまりにも多すぎる。惑星ナブーやタトウィーンを舞台としたシーンなど、あの半分でもまだ長いくらいだ。コルサントで評議会が開かれる辺りから、辛うじてほんの少し面白くなるが、それまでの退屈さは並大抵のものではない。

・それでいて世界観の説明やキャラクター描写など、肝心な部分は見事にすっ飛ばされている。クワイ=ガン・ジンって結局どんな男だったんだ? オビ=ワンとの師弟関係は? せめて台詞で一言二言でもいいから、二人の過去について触れるべきではないのか?

・キャラクター描写がそんな具合だから、登場人物の誰にも感情移入出来ない作品となっている。だがそれはこの手のヒーローが活躍する娯楽映画として、極めて致命的な欠点ではないのか?

・ナタリー・ポートマンの一人二役は、最初からバレバレ。そもそもドラマ的にみて、あの一人二役に一体どんな意味があったんだ?

・アナキン…お前、母親との別れに何の悲しみも感じてないのか?

・ダース・モールって…ただの「使いっ走り」じゃんか(^^;)

・ジャー・ジャー・ビンクスは…(以下300行省略)

・山のように出てくる有象無象のクリーチャー…お前らうるさすぎる! 全員死んでよし!! 

・ジャー・ジャーを初めとするグンガン族のしゃべり方が、ジャマイカ系の人間そっくりで差別的だと非難されたそうだ。見る前は「こんな作品に対して、そういう部分で目くじら立てるのはちょっと野暮じゃないか?」と思っていたのだが…これは確かにひどすぎる。いかにファンタジーといえども、ここまでバカ丸出しなキャラクターに、特定の民族の話し方を当てはめたら、それは「差別的」という非難が起きるのは当然のことだ。

・CG映像は「無意味に過剰」。ビデオやDVDで一場面一場面静止画で見て、「ここにあれがいた。あそこでこれをやっている」と楽しむオタクのためだけに作られた映像だ。普通に劇場で「映画」として見る分には、あまりにノイジーすぎる。第一あの映像の質感はまだまだ本物には遠く及ばず、高級なテレビゲームでも見ているかのようだ。CGの見本市ではあっても、こんなものは「映画」とは言えない。

・結局のところ、最後の大戦闘はアナキンがたまたま(あれをフォースの導きだなんて絶対に言わせんぞ!)発射した、たった一発のミサイルだか光線だかで、宇宙はもちろん地上の戦いまですべて片が付いてしまったわけね…(溜息)
よもやそんな人間はいるはずないと思うが、万が一『ID4』をご都合主義だと批判する一方で、この映画を誉めるような人物がいたら、僕はその人間の言うことは未来永劫信用しないことにする。

・ラストはクマ音頭ならぬカエル音頭?(^^;) 『ジェダイの復讐』がなぜあんなに評判が悪いのか、このバカ監督はまったく理解していないのね…(涙)


もういいや…何だか真面目に批判するのがバカらしくなってきた…


強いて評価できる点を探すなら…まずダース・モールを中心としたチャンバラの迫力。また最後の戦闘シーンにも何カットか「おっ」と思えるイマジネーション豊かな描写があった。そしてナタリー・ポートマンは非常に可愛い。

しかし…どうせろくな作品じゃないだろうと思っていたし、だからこそ一切の期待を持たずに見た…いや、これくらい期待せずに臨めばきっと楽しめるだろうと期待していたのだが(笑)、そんな貧乏くさい期待すら裏切るほどに不出来な作品であった。ジョージ・ルーカスは本当にエピソード2,3も自分で監督するつもりなのだろうか? 人間、金と権力を持って周りにイエスマンしかいなくなると、ここまでダメになるという見本のようだ。ジョージ、悪いこと言わないから、君はプロデューサーとして金だけ出していなさい。

上映の途中から、スクリーンの上部ど真ん中に、ずっと一匹の蛾が止まっていた(笑)。あの蛾がこの作品のすべてを象徴していたような気がする(笑)。


(1999年7月初出/2001年1月改訂)

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