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05/07/2005

【音楽】ROVO presents MAN DRIVE TRNCE SPECIAL vol.3 2005.5.3

ROVO presents MAN DRIVE TRNCE SPECIAL vol.3
2005年5月3日(火) 日比谷野外音楽堂


毎年恒例、日比谷野音でのROVO presents MAN DRIVE TRNCE SPECIAL。昨年までは5月5日だったが、今年はなぜか3日になっている。去年とは打って変わったいい天気。暑くも寒くもなく、野外ライヴには絶好の日和だった。

到着したのは15時50分頃。これまでの経験から学んだことだが、音楽と無関係に酒を飲んで馬鹿騒ぎする連中を避けるには、できるだけ前に行った方がいい。一見逆のような気がするが、ROVOに関して言えば、前の方は真剣に音楽を聴く人間が多く、馬鹿どもは真ん中の少し前辺りに多い。それを避けるため、真ん中ブロックの前の方に行く。
ところが空いてる席がない…いや、あるぞ。え? 確かに空いてるけど、最前列ど真ん中だよ(^_^;)。どうしようかと迷ったが、他に適当な席もないので、仕方なくそこに座る。まあここなら通路際のように馬鹿どもがなだれ込んでくることはないだろう。しかしここまで前だと、音楽そのものに向き合うのはいいが、会場全体の雰囲気が掴めず、ちょっとライヴ感覚に欠けるのが辛いところだ。

先に断っておこう。いきなり知らない人間を馬鹿呼ばわりする書き方に、読んでいて不快感を覚える向きもあろうが辞めるつもりはない。
それは一度でもあの惨状を体験したことがある人なら必ず理解してくれるはずだ。

演奏中に音楽とまったく無関係な話を大声でする馬鹿。
演奏中に音楽とまったく無関係な歌を大声で歌い出す馬鹿。
明らかに演奏と合っていない歓声を上げ続ける馬鹿。
静かな演奏になると携帯で話を始める馬鹿。
禁煙なのにタバコを吸い、火のついたタバコを振り回しながら踊る馬鹿。
次から次へと酒をあおり、途中で寝込んだりゲロを吐いたりしている馬鹿。
堂々とハッパを吸ったり、錠剤を飲んだりしてラリってる馬鹿。

上記のような連中がそこらにうようよしているライヴを、あなたは想像できるだろうか?

音楽に反応して過激に暴れるのは百歩譲って許すとしよう。
しかし音楽と全く無関係に騒ぎまくり、他の観客に迷惑をかけ、音楽そのものを汚すような奴らは、誰が何と言おうと「馬鹿」以外の何者でもない。
僕は奴らを嫌っているのではない。心の底から憎んでいるのだ。
奴らは【音楽の敵】だ。
奴らの呼び名は「馬鹿」以外にありえない。

そんなわけでROVOのライヴは毎回毎回「いかにして馬鹿から離れるか」というのが重要な課題になる。その点、昨年11月のSHIBUYA-AXでのライヴは最高だった。周りに一人の馬鹿もおらず、実に心地よく楽しむことが出来た。しかし野音のライヴは他の場所に比べて馬鹿が集まりやすい。さて、どうなることか…


16時開演のはずだが、その5分ほど前から七尾旅人が始まる。初めて聴く人だが、エレクトロニクス機器を使用して、ほぼ一人で音楽を作り出していく様は、以前MAN DRIVE TRNCEに出たことがあるGOMAやASA-CHANG & 巡礼などと一脈通じるものがある。後半ナイン・インチ・ネイルズっぽいところもあって笑えた。2曲目のみ、キーボードとパーカッションが参加。違うかもしれないが、キーボードの人は以前Salyuのライヴでキーボードを弾いていた人ではなかろうか。
演奏時間は全部で35分程度。全体的には、特に素晴らしいと言うほどではないが心地よく聴くことが出来て満足。「弟の給食費を払ってやりたいのでTシャツを買ってください」というMCが会場で馬鹿受け。しかもあとで見たら七尾Tシャツがしっかり売り切れていた。本日のちょっといい出来事(^-^)


わずか5分ほどのセットチェンジを経て、16時38分から2番手のPolarisが始まる。アルバムは聴いたことがあるが、ライヴは初めて。予想以上にまったりとした展開で、曲の区別がほとんどつかない。ある意味退屈とも言えるが、ちょっとチャンネルを切り替えてゆったりとしたグルーヴに身を任せると非常に心地よい。意外と気温が低くてのどが渇かなかったのでアルコールは一切飲まなかったが、本当はビールでも飲みながらゆったり聴いていたら、さらに楽しかっただろう。
Polarisと言えば、ダブバンドという音楽性やベースに柏原譲がいるせいで、どうしてもFishmansの影がちらつくわけだが、こうしてみるとやはりFishmansとは似て非なるものであることがよくわかる。Fishmansの音楽が、どこか浮世離れした、天上で鳴り響いている歌のようであるのに対し、Polarisはもっと地に足が付いた、より日常生活に密着した歌になっている。これはフロントに立つヴォーカル&ギターの個性の違いだろう。Fishmansの佐藤伸治のヴォーカルは、あまりにも独特すぎる。それに比べると大谷友介のヴォーカルは、もっと普通で親しみやすい。その分印象に残らないとも言えるが。
しかし音楽的に最も耳を引かれるのは柏原譲のベースだ。「地を這うような」と言うよりも、むしろ「大地そのものが脈動している」と言いたくなる超重量級のベース。やはりこちらに耳を奪われてしまうと、Fishmansの影がちらつくのもやむなしといったころか。
演奏時間は約1時間5分。途中機材のトラブルでヴォーカルが聞こえなくなる一幕もあったが、そんなトラブルもご愛敬で許せてしまう、ゆるやかで心地よいライヴだった。


Polarisの終了後トイレに行ったら、列に並んでいる内に次のレイ・ハラカミが始まる。Polarisとのブランクはわずか2分! ちょっと早すぎだろ。 
レイ・ハラカミ…名前だけはやたらに聞くのだが、彼自身の音楽に実際に耳を傾けるのは今回が初めてだ。最大の感想は「エイフェックス・ツインズみたい」。あまり誉め言葉にはならないかもしれないが、自分のヴォキャブラリー内で言うと、そういうことになる。決してつまらなかったわけではないが、正直明るい野音で聴くには少しひ弱な感じがした。暗い室内で聴けばもっと楽しかっただろうが、そういう意味からもクラブミュージックという枠内にすっぽり収まっていて、それを飛び越えるほどの力は感じられなかった。もちろんクラブミュージックとして素晴らしくセンスがいいことだけは、よくわかったが。
また、どういう演奏をするのかと思いきや、ハラカミ一人が一番奥にあるエレクトロニクスを黙々といじっているだけ。演奏と言うより、ほとんどDJと考えた方がいいだろう。そもそもあの音楽の内どこまでをその場で出しているのか非常に疑問。やはり人気が高いらしく会場は多いに盛り上がっていたが、個人的にはそれほど乗れなかった。演奏は17時45分から18時25分までの40分間。


その後約20分のセットチェンジを経て、18時45分にいよいよROVOが登場する。昨年はROVOの最初の方はまだ明るかったような記憶があるが、今回は完全に日が落ちている。始まる時間が去年より遅かったのだろうか?

1曲目はいきなり「KoNuMu」。ROVOの曲の中では、おそらく最もポップでわかりすいノリを持った曲。当然最初から会場はヒートアップする。演奏も気合いが入っている。前回見たSHIBUYA-AXでの演奏は、もう少しリラックスした感じで、あれはあれで非常に気持ち良かったが、今日の演奏はもっと真剣な気合いがみなぎっている。言うまでもなく、気合いがみなぎっている時のROVOは手がつけられない。聴く者をどこまでも連れて行ってくれる。
2曲目はファーストアルバム『PICO!』の曲だが、そのアルバムは持っていないので、おそらくこの日初めて耳にする。3曲目と4曲目は最新アルバム『MON』から。どれも全て素晴らしい。今日はベースの音が特によく響くような気がする。山本はギターを弾きまくっていたが、座席の位置の関係か音量が少し小さい感じがした。勝井のヴァイオリンは絶好調という感じで、いつにも増して艶っぽい音が洪水のようにあふれ出してくる。ここまではROVOのライヴとして完璧だ。

そして19時半頃、5曲目でゲストとしてヴォーカリストのYAEが登場する。鬼怒無月がアルバムをプロデュースしギターも弾いている関係で、以前から興味を持っていた人だ。だがアルバムは買っておらず、ライヴもなかなかタイミングが合わず、結局この日初めてYAEのヴォーカルに接することとなった。ただし歌詞はなく、声を楽器のように使うので、「ヴォーカル」と言うより「ヴォイス」という感じ。ブルガリアンボイスのようでもあり、エンヤのようでもあり、ビョークのようでもある神秘的なヴォイスが夜の野音に響き渡る。
…と言っても、最初は少々退屈だった。アンビエントな音空間は、前半のアッパーな乗りとあまりに違いすぎたし、何よりもROVOのメンバーがYAEのヴォイスにどう絡むべきか手探りしている感じで、なかなか化学反応が起きなかったからだ。
しかし10分ほどたった頃からだろうか。今までのROVOのライヴではまったく経験したことのない不思議な音空間が、次第に姿を現し始めたのだ。何よりも驚くべきは、あの馬鹿テク集団を自分の声一つで新しい音世界へと導いていくYAEだ。夢幻的なヴォイス、エスニックな踊り、大地のような母性を感じさせる容姿…目も耳も彼女に釘付けだった。曲はいつしか「極星」へと変わっていったが、YAEのヴォイスは、音の嵐が吹きすさぶ野原に、すくっと立ち続ける一本の樹木を思わせた。全てが本当に美しかった。

しかし…このあまりにも美しい音空間をぶち壊していたのは、最前列で音楽とまったく合っていない掛け声を延々とかけ続けていた一人の馬鹿だった(-_-;)。せめてもう少し近くにいたら注意できたのだが、間に6人くらいの人が挟まっていて中途半端に遠いのである。注意しようと思ったら、こちらまで場をぶち壊す大声を上げなくてはならない。そちらを見れば、周りの女の子たちが露骨に迷惑そうな顔をしている。馬鹿はまったく気にしていない、と言うよりは自分以外の人間がまったく目に入っていない。いや、あの音楽にああいう掛け声をかけられるのだから、すでに音楽も耳に入っていなかったのだろう。酔っぱらっていたかラリっていたのだと思う。
後ろの方では、例によって舞台上の音楽と関係ない歌を歌ってる馬鹿どもがいたし、いろいろ問題もあったようだが、幸いそれらはかなり離れていたので、ほとんど気にならなかった。それだけに最前列にいたただ一人の馬鹿は痛かった。その馬鹿は終わりの方で姿を消していたが、後ろの方でゲロでも吐いていたのだろうか?(終演後、例によってゲロの跡を見たし、酔いつぶれている奴を何人も見た) どうせ潰れるなら、開演前から潰れてろ、ボケ!
肝心の音楽も聴かず、自己陶酔の世界で周りに迷惑をかける馬鹿ども…ROVOのライヴは、常に最高の音楽と最低の客が共存する。この状況はもう永遠に変わらないのだろうか…

YAEとの共演では、照明もいつになく素晴らしかった。ただこの美しさは、もっと後ろで見た方がより深く味わえたと思う。終盤、後ろの方にあるミラーボールを二人の人が手動でメチャクチャに回したりゆすったりしてドラッギーな効果を上げているのには笑った。なるほど、これも人力トランスの一環なのか。

YAEとROVOの共演は35分間に及んだ。20時5分から再びROVOのみの演奏で本編最後の曲「CISCO」。アンコールは「REOM」。終演は20時32分頃だった。
この終盤なのだが、実は印象が薄い。もちろんいつも通りのROVOだから演奏は素晴らしかったのだが、その前のYAEとの共演で「いつも通りのROVO」にはなかった世界を見てしまったせいで、どことなく物足りなさを感じてしまったのだ。そういう意味では、YAEとの共演は半分大成功でありつつ、半分失敗だったとも言える。せめて本編の後半は最後までYAEとの共演にして、アンコールは「REOM」のような複雑なナンバーではなく、「Sukhna」のような必殺盛り上がりナンバー一発で締めた方が良かったのではなかろうか。そう言えば今回は『FLAGE』から1曲も演奏されなかったな。

案の定、終演後の評判を聞いてみるとYAEとの共演は賛否両論真っ二つに分かれている。あの部分で寝たという声も多数聞いた。まあそれはそれでわからなくもない。圧倒的なリズムの嵐が作り出すトランス状態を期待してROVOのライヴにやってくる人たちには、あのアンビエントな音空間は意にそぐわぬものだったろう。
だがそのような期待を裏切って全く新しい音楽を聞かせてくれたことが、個人的にはとても嬉しかった。もちろんいつも通りのROVOも当然のごとく素晴らしいのだが、あれだけ高度な音楽集団が毎回同じパターンでアッパーに盛り上がって終わりという予定調和なライヴばかりやっていたのではもったいなさすぎる。今回は功罪相半ばする部分も感じたが、このような実験はこれからもどんどん続けていって欲しい。

ともかく今回は、良くも悪くもYAEの存在感がROVOを食ってしまったライヴだった。ずっと後回しにしていたYAEのアルバム、近いうちに買ってくるとしよう。


ROVOの次のライヴはFUJI ROCKだが、これは行くのが面倒なのでパス(私FUJI ROCK未体験者です)。その次は修善寺…これも遠すぎ。また秋頃に恵比寿のLIQUIDかSHUBUYA-AXでやってくれるだろうから、それまで我慢。最近は「半年に1度のROVO」が恒例になりつつある。


ROVO演奏曲目

1.KoNuMu
2.Vitamine!
3.LOQUIX
4.HAOMA
5.SESSION〜極星 (featuring YAE)
6.CISCO
(encore)
7.REOM


ROVO
http://www.rovo.jp/

YAE
http://www.yaenet.com/


(2005年5月初出)

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