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05/17/2005

【映画】『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』胡散臭い

えらく評判がいいようだが、僕はダメだ、この作品。

まさに『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の悪夢再び。全編手持ちカメラで、およそその必要がなさそうなシーンまでフラフラフラフラと画面が揺れている。しかも画面はデジタルベーカムとハンディカムをキネコした汚い画面。その白っぽい画面に手書きによる抜けの悪い字幕が載るのだからたまったものではない。
どうやら僕は、フィルム+手持ちカメラはOKだが、ビデオ(→キネコ)+手持ちカメラで画面がフラフラ揺れる映画は、神経が受けつけないらしい。これは生理的な問題だから、文句を言われても困る。念のため2回見たし、2回目は普通より少し後ろの席で見たのだが、開巻間もなくイブライム・フェレールのレコーディング・シーンで、カメラがグルグルグルグルと360度回転を繰り返すところでやはりギブアップ。もう少しでゲロを吐きそうになった。

これが全編手持ちにする意味がある作品なら、相性が悪かったで済むのだが、そもそもこの作品を全編手持ちにする必要があったのだろうか? ただ座って話しているだけの人物を、手持ちでフラフラしながら撮る意味が一体どこにあったんだ?

その点を除いても、ドキュメンタリーとして、さして優れた作品だとは思えない。何よりも音楽を一曲きちんと聴かせてくれる部分が希なのには、イライラしてくる。代わりに人間ドラマ(?)的な部分が充実していればともかく、大部分のメンバーを総花的に描いているため何とも食い足りない。しかも最後を締めくくるのがいつもライ・クーダーでは… 僕はライの音楽のファンだが、少なくともこの映画においては、もう少し黒子として後ろに引っ込んでくれないと、まるで老ミュージシャンたちをダシにして自分を売り込んでいるかのようで、ひどく嫌みな印象になってしまう。ハバナの町並みを撮すヴェダースの視点が、ゲバラの肖像だの葉巻だの、あまりにも観光客的なのが、余計その印象を強くする。

いずれにせよ、ザ・バンドの『ラスト・ワルツ』やU2の『魂の叫び』といった真の傑作と比べたら、足下にも及ばぬ作品だろう。この予想外の大ヒットには、「猫も杓子もワールド・ミュージック」という十数年前のあのブームに通じる胡散臭さを感じずにはいられない。


(2000年3月初出/2001年1月改訂)

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