【映画】『新・仁義なき戦い』短評
本年度の日本映画中、最大の「大失望作」ではなかろうか?
見る前は「今この時代に『仁義なき戦い』を復活させる意味は何なのか? もしその理由が見いだせない作品になっていたら、点数は必然的に辛いものになるだろう」などと思っていた。しかしいざ見てみると、そういうレヴェル以前の問題、映画としてクズ同然の出来に驚かされた。
とにかく脚本がひどい。説明不足もはなはだしく、全編が混乱に満ちている。各人の行動の動機は不明瞭、感情移入できる人物は皆無、導入部で豊川と布袋の幼少期を描きながら、その二人の葛藤がドラマとしてまったく生きていない。布袋の演じたキャラクターなどいなくても物語は十分に成立するし、最後の行動に至ってはほとんど理解不能だ(もしあれを隠された友情の証とするなら、そこに至るまでのドラマが極端に希薄だ)。
役者の面構えはなかなかよろしく、男臭い顔ぶれが車を降りてぞろぞろと歩いてくる冒頭近くのシーンにはゾクッとしたが、結局あれが唯一最大のクライマックスだった。あとは不完全燃焼な時間がダラダラと過ぎて行くのみ。見終わったときの最大の感想は「時間をムダした〜(;_;)」であった。
それにしても…同じ年にあのような傑作(『顔』)と、このような駄作を続けて発表できるとは…あんたは大林宣彦かい>阪本順治
(2000年12月初出/2001年1月改訂)
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