【映画】『鮫肌男と桃尻女』短評
この監督、絶対に映画というものを勘違いしていると思う。
ここにあるのは、製作者たちが「オレこういうの好きなんだ」とか「これやったら面白そうじゃん」というアイディアの羅列であって、それが「観客が見て面白い」映像として成り立っていない。簡単に言えば「独りよがり」。とてもではないが、これはプロの仕事とは呼べない。
新しいことをやるのが大切なのは言うまでもない。だが新しいことをやりさえすれば、それで映画が面白くなるわけではない。この監督、そこのところをわかっているのだろうか?
怪演揃いの役者は面白い。実際には見るべきところがいくつもあるし、特に後半はそれなりに楽しめる。しかしそのような面白い素材を、最悪の映画処理によって台無しにしてしまった行為は万死に値する。
本編前が始まる前に、昨年東京映画祭で見た大傑作『ロック・ストック&トゥー・スモーキング・バレルス』の予告編を見た。あの監督の爪の垢を、石井克人に煎じて飲ませてやりたい。この愚作を見る暇と金があったら、『ロック・ストック&トゥー・スモーキング・バレルス』を5回見に行くことをお薦めする。
(1999年4月初出/2001年1月改訂)
The comments to this entry are closed.
Comments