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05/13/2005

【映画】『戦争のはらわた』短評

上げようと思えば、幾つでも欠点を上げることは出来る。特に問題なのは、多数の登場人物をうまくさばききれていないこと。そのためもあって、前半には少々退屈さを感じる部分もある。

だがその程度の欠点など歯牙にもかけぬパワーが、この作品には満ち溢れている。「自らが滅びゆく者であることを自覚した男の、最後の誇りを掛けた闘い」は、サム・ペキンパーのいつも通りのテーマだが、それがこれほど鮮烈に、皮肉に、そしてスケール豊かに描かれた作品は他にない。ラスト15分ほどは、狂気と狂喜が荒波のように押し寄せる、映画史上屈指のクライマックスだ。ジェームズ・コバーン、かっこよすぎ。ラストの高笑いは、死ぬまで耳から離れないことだろう。

しかし映像的には23年後の今でも十分通用する迫力なのだが、ドルビー・デジタルが当たり前の時代に、このような戦争映画でモノラル音声はさすがに辛いものがある。むしろ映像的に遜色がない分、絵と音の間にある大きなギャップに歯がゆさを感じてしまった。この作品の音声だけリメイク出来ないものだろうか?


(2000年3月初出/2001年1月改訂)

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