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05/20/2005

【映画】『ジュラシック・パークIII』がんばれメイシー! がんばれ携帯!

ある意味予想通りの内容。もはやCG恐竜そのものには誰も驚かないわけで、なりふり構わぬモンスター・パニックものに徹することで、三匹目のドジョウに止まらぬ娯楽作品に仕上がっている。あくまでもB級怪獣映画として見れば、十分に楽しめる。

ただし前2作とは違う意味で脚本がイマイチ。次から次へと危機が続くのはいいのが、すべてのエピソードが団子状につながっているばかりで、あまりに一本調子。特に全体のクライマックスと言える部分がないのは寂しい。これに比べると(個人的にはほとんど評価していないが)前2作の方が、遙かにメリハリのある脚本だったと言えそうだ。
見ようによっては全編がクライマックスだとも言えるが、『ハムナプトラ2』のように全編見せ場だらけでありながら、さらにそれを上回る怒濤のクライマックスで「満腹しました〜」と言わせてくれる映画を見た後では、いかにも物足りない。もっともその物足りなさが、いかにもB級映画っぽくて、それはそれで味があるのだが。『ハムナプトラ2』の怒濤の展開に胃もたれを起こしたような人には、むしろこの程度の腹八分目感覚の方が良いのかもしれない。

前2作に比べると、傑出した部分は少ない代わりに、大きなマイナス点もない。何も考えず気楽に見られる娯楽映画としては、むしろシリーズ中一番安定した出来ではなかろうか。入場料を払ったら、思いがけないお釣りが返ってくることはないけれど、ちゃんと入場料分だけは楽しめる。少なくとも『A.I.』や『猿の惑星』よりは、安心して人に薦められる映画だ。

この作品で特に優れた点を二つ。まず第一に、情けない男を演じさせたら世界一のウィリアム・H・メイシー(『ファーゴ』)。退屈になりがちな人間ドラマの部分を、この人が一人で救っている。予定調和になりがちなサスペンスも、この人だけはいつ食われるかわかったものではないので、つい手に汗握ってしまう(笑)。本当に素晴らしいキャラクターだ。
そしてもう一つは、根性ありすぎの携帯電話!(爆笑) あの驚異的なヘビーデューティーさにはただただ感動(笑)。3人の脚本家は、この携帯の使い方に、アイディアの全てを注ぎ込んだに違いない。「この展開ちょっと安易じゃない?」「大丈夫、みんな携帯の使い方に感心して見逃してくれるよ」…そんな会話が聞こえてくるかのようだ。誰が何と言おうと、本作の功労賞はウィリアム・H・メイシーと携帯電話に贈られるべきだ。また、出ないと思っていたローラ・ダーンがゲスト的な扱いではあったが、ちゃんと顔を出していたのにも思わず感動した。


(2001年7月初出)

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