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05/04/2005

【映画】『コールド マウンテン』これってミスキャストでは?

アンソニー・ミンゲラ監督をはじめ『イングリッシュ・ペイシェント』の主要スタッフが再び結集したラブロマンス。南北戦争を舞台に、戦争で引き裂かれた恋人同士がが再会するまでの苦闘を描く。

一言で言えば「すごく惜しい映画」。いささか通俗的ではあるものの、戦争を背景にしたラブロマンスとして、かなり面白い作品になっているのに、致命的な欠陥があって、あと少しのところで心を震わせる作品にはなりえていない。

その致命的な欠陥とは「ミスキャスト」に他ならない。

主演のニコール・キッドマンとジュード・ロウ。この二人の年齢は、どう見ても30代だろう。特にニコール・キッドマンは、豊かな貫禄と言い、実年齢に見合ったお肌のくたびれ方と言い、どうがんばっても20代には見えまい。
ところがこの作品のストーリーや設定は、到底30代の男女の恋愛には見えない。あれは明らかに20代前半の恋物語だろう。何よりも奇怪なのは、お嬢様育ちの美女であるニコールが、あの歳でまだ結婚していないこと。何か特別な事情があるのではないかと、落ち着かないことこの上もない。どう見ても不自然である。見れば見るほど違和感が募っていく。
これが例えば『タイタニック』時代のレオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットのように、もっと初々しいコンビだったら、映画は桁違いに自然なものとなっただろう。観客はごく自然に、二人の主人公に感情移入し、彼らの運命に胸を熱くしたに違いない。しかしニコール・キッドマンとジュード・ロウでは、明らかに違うのである。

そこへさらに止めを刺すのが、ニコールの父親にドナルド・サザーランドという信じがたいキャスティング。ニコール・キッドマンとドナルド・サザーランドが親子?? そんな親子が、どこの世界にいるか!(笑)
しかもその父親が実に穏やかでいい人なのである(笑)。サザーランドと言えば、悪役か、悪役ではないまでも相当にアクの強い役が当たり前の役者ではないか。彼が死んだ時には「これは何者かによる謀殺か? 犯人は誰だ?」とあらぬ疑いを抱いたほどだ。なぜこの役にドナルド・サザーランド? わからん。理解できん。

念のために言っておくと、主役二人の芝居そのものは素晴らしい。とりわけジュード・ロウはオスカー候補になるのも十分納得できる熱演だ。だがそれは、故郷に帰ろうとする旅の中での話であり、ニコールとの絡みになると、やはり違和感や不自然さばかりが目についてしまう。

そんな映画が見違えるように面白くなるのは、レニー・ゼルウィガーが登場した瞬間からだ。かくもひどいミスキャスティングと、こんなナイスキャスティングが共存するとは、一体どういう映画なんだ、これは。レニーはこの作品でオスカーの助演賞を取ったわけだが、それも当然だろう。彼女が出てくるだけで、画面に素晴らしい生命力がみなぎってくる。見事の一語だ。

しかしクライマックスは再びニコールとジュードの恋物語になるわけで…。何だかなあ…やはり違うなあ…と。

ジョン・シールの撮影も、ガブリエル・ヤレドとT-ボーン・バーネットの音楽も素晴らしい。
そしてアンソニー・ミンゲラの演出は、いかにも文芸作品的な題材を映画的に見せる技においては、今や世界でもトップレベルだろう。しかしこの人の映画はどれもこれも、すごく良い部分と「何だかなあ…」と思わずにはいられない部分が混在し、どうしても諸手を挙げて絶賛することができない。これほどの演出力を持ちながら…本当に惜しい。


(2004年4月初出)

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