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04/21/2005

【映画】『あの子を探して』短評

チャン・イーモウはかつて最も好きな監督の一人だったが、評判の良かった『秋菊の物語』がまあまあ程度で、その後の『上海ルージュ』が退屈極まりない凡作だったため、明らかな力の衰えを感じ、最近はすっかり疎遠になっていた。それはチェン・カイコーの方も同様で、かつて一世を風靡した中国第五世代も、最近はぱっとしないなあ…

この作品は、物語の構造も、ほのぼのとした雰囲気も『秋菊の物語』にもう一度戻った感じ。最大の違いは、もちろんコン・リーがいないことだが、主役の女の子が(遙かに垢抜けないとは言え)どことなくコン・リーに似ているあたり、監督の業を感じた(笑)。
特に素晴らしい作品とは思わないが(これがヴェネツィアのグランプリ?)、退屈することなく普通に楽しめる。変な言い方だが、もしこれがイラン映画だったとしたら「うんうん、やっぱりイラン映画は素朴でいいねえ」で一件落着することだ。だがチャン・イーモウの作品として見てしまうと、「今ひとつ毒に欠けるなあ…」という贅沢な思いが頭をもたげる。お金やテレビ局絡みのエピソードに毒の萌芽は感じるものの、それが今ひとつ突き抜けていないのが残念だ。

また少々引っかかったのは、あの先生は最初は給金を欲しいがために、生徒を引き留めようとしていたはず。それがどの辺りからお金の問題ではなくなったのか、あるいは最後までお金の問題が厳然と存在したのか…その点が不明瞭なことだ。テレビの前で彼女が「なぜそうまでしてその生徒を捜しにきたんですか?」と問われ、言葉が出なかったとき、僕は「お給金がもらえなくなるからです。でももうそんなことはどうでもいいから帰ってきて」といった言葉が聞けるのかと思った。「そんなこと露骨に言わなくても、あの涙だけで十分だろう」という意見や、都会に来てからの経験で、彼女はお金優先の虚しさを思い知っていたはずだという見方もあろうが、最終的には「お金」の存在によって一応のハッピーエンドを迎える以上、「お金」と「思い」の位置関係は、もう少し明確に描いて欲しかった。

…と、不満はいろいろとあるのだが、これはかつてのチャン・イーモウ映画にみなぎっていた「触れなば切れん」という尋常ならざる殺気を未だに忘れられないがゆえのこと。見ても損はない作品だと思う。


(2000年8月初出/2001年1月改訂)

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