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04/08/2005

【音楽】 fra-foa 『小さなひかり。』(シングル)

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え〜い、もうこうなりゃ最新シングルもレヴューしてやる。


fra-foa『小さなひかり。』TFCC-87087
 1.小さなひかり。
 2.踊る少年


一応「fra-foa」と書いたが、このシングルのクレジットはなぜか「フラホア」になっている。ひょっとして表記を変えたのか? オフィシャルHPには何も書かれていないのだが…

この「小さなひかり。」および2曲目の「踊る少年」という曲、最新シングルには違いないが、実は1999年からずっとライヴで演奏されているナンバー。特に「小さなひかり。」はほとんどの場合ラスト・ナンバーとして歌われてきた、ファンの間では有名な曲らしい(先日のクアトロライヴでは途中で歌われた)。普通ならデビューアルバムの目玉になって当然の曲だが、アルバムの全体的なコンセプトからは浮いてしまうため収録されなかったのだろう。

曲は『宙の淵』収録のナンバーに比べると格段に明るく、ポップ。それが商業的な妥協によるものではなく、あくまでもfra-foaの音楽性に則っているところが素晴らしい。ポジティヴな透明感に溢れる音空間、懐かしい夏の匂いを漂わせる歌詞は、聴く者の五感を優しく解放してくれる。この優しさは「ひぐらし」にかなり近いが、演奏は遙かにエネルギッシュ。特にコーラス部分では、いつも通りのグランジギターが炸裂する。にも関わらず、とげとげした感じや攻撃的な印象をまったく受けないのが不思議なところ。演奏だけ聴けばそれなりにハードなのだが、上に乗るヴォーカルが明るくスコンと突き抜けているため、エネルギッシュでありながら優しさと透明感に満ちた、希有なサウンドとなっている。

そして何よりも興味深いのは、アルバムにおいてはすべて「僕」と「君」という人称で通していた三上ちさ子が、初めて「わたし」「あなた」という人称を使っていることだ。そのためこの曲を初めて聴いた時、映画『マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ』の終盤、少年を演じ続けてきたサガが女の子の服装で登場した時と同質の感動を覚えてしまった(笑)。
ただ前述したとおり、曲そのものは最も初期に作られた作品なので、今になってちさ子の表現姿勢が変化したというわけでもなさそうだ。胸にサラシを巻いてボクシングやサッカーをやっていたサガさながら、ちさ子が「僕」という少年像に則って歌うこと自体が『宙の淵』のコンセプトの一つだったはずだ。このシングルは、そのような制約から離れて自然体に帰っただけと見る方が正しいだろう(シングル用のレコーディングにあたって歌詞が変更されたのでなければの話だが)。


二曲目の「踊る少年」は、ダークな緊張感を秘めながらじんわりと盛り上がっていくナンバー。「小さなひかり。」から続けて聴くと、前半部の地味な展開に一瞬首を傾げるが、静かに静かにクライマックスへと上りつめていく展開はなかなかのもの。秀逸なのはドラムスで、サビの部分で聴けるシンバルなど特に素晴らしい。この曲は「月と砂漠」と同様ギターの高橋誠二がちさ子と共に作曲に名を連ねているが、それほど目立ったギターワークはなく、むしろ縁の下の力持ち的な立場で、ちさ子の歌を支えている。


このシングルの録音とミックスは、hideやラウドネスなどとも手がけたエリック・ウェストフォール。アルビニに比べると、ずっとクリアで普通のサウンドだが、fra-foaの「光」の部分にスポットを当てた、素晴らしい仕事ぶりだ。


『宙の淵』の美点を継承しつつも、より解放された音を奏で始めたfra-foa。極めて順当な進化だと思う。一刻も早くセカンド・アルバムが聴きたい。


(2001年6月初出)

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