【映画】『ジョー・ブラックをよろしく』 短評
やはり3時間は長い! 途中で時計を見ることしばしば。だがその一方で、あのスロー・ペース、あの静謐なタッチで3時間もかけたからこそ生み出された、独特の「詩情」が溢れていることも否定できない。
「古き良きハリウッド映画の復活」というような形容がされているが、それは全然違う。確かにシノプシスだけを取り出せば、ルビッチの『天国は待ってくれる』などを想起させる内容だ。だが「古き良きハリウッド映画」なら、こんなものは確実に1時間半におさめているはず。もし「古き良きハリウッド映画の復活」という視点から評価したら、まったくお話にならない代物だ。
だがこの映画が3時間もかかったのは、決して下手だからそうなったのではなく、あの静謐なイメージを出すために、確信犯的にそうしたのだろう。それは明らかに「古き良きハリウッド映画」とは別のもの、むしろある種のヨーロッパ映画に近い作風だ。
その試みが完全に成功しているとは言えないが、意欲は大いに買うし、少なくともパーティが始まってからラストまでの一連は、忘れがたい名シーンとして記憶に残る。
両手をあげて絶賛というわけにはとてもいかないが、これはこれで良しということにしよう。
(1999年3月初出/2001年1月改訂)
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