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03/01/2005

【映画】『アナとオットー』短評

いやはや、こんなに不思議な作品だとは思わなかった。

核となるのは、まぎれもなくアナとオットーのラブ・ストーリー
なのだが、その語り口や話の展開は相当にファンタジック。まともに
考えれば「おいおい、何でそうなるんだよ」と言う他ないお話だが、
この作品をそういうリアリズムに基づいて見ることは、あまり意味が
ないだろう。
時空間の解体や、視点(語り手)の転換といった複雑な技巧もあい
まって、映画と言うよりも、ある種の工芸品を見ているような印象
さえ残る。そんな個性を受け入れられるか否かで、はっきりと
好き嫌いが分かれる作品だと思う。

全体的な肌触りは、まるでキェシロフスキ映画だし、ストーリーも
『デカローグ』と『偶然』を混ぜ合わせたかのよう。しかし「まず
人間ありき」のキェシロフスキ映画に比べると、こちらは「まず
スタイルありき」という硬さがあって、映画的な技巧の数々は非常に
魅力的だが、一個の作品としては、心を揺さぶられるところまでは
いかなかった。
だがこのフリオ・メデムという監督の才能は並大抵のものではない。
今はまだ才気に走りすぎて、最も大切な物語の魂となる部分をすくい
上げられないでいるが、もう少し余裕が出て、じっくりと人間を描ける
ようになったら、とんでもない大化けをする可能性がある。要注目。
先物買いの好きな人は、絶対に見ておいて損はない。

それにしても、アナ役のナイワ・ニムリ…『オープン・ユア・アイズ』
の時よりも遙かに美しく魅力的なのだが…やっぱりこの人怖いわ(笑)。
どこか眼が狂ってる。ラストのあれは夢に出てきそうだ(^_^;)。
そのラストをはじめ、印象に残るシーンは山のようにある。例えば
カラックスの『汚れた血』などと同じような感じで、カルト的人気
を博す作品になるのではなかろうか。


(2000年1月初出/2001年1月改訂)

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Comments

とてもとても大好きな人がアナとオットーの映画を教えてくれました。
一度しか観ていないのだけれど、あのセピア色の世界がずっとわたしの中にある気がします。

ストーリー自体、というより空気が愛しい映画です。ときどき帰りたくなるような、そんな世界観。

Posted by: kasumi | 08/20/2006 at 12:38

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