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03/01/2005

【演劇】少年王者舘 KUDAN Project 「劇終/OSHIMAI〜くだんの件」 2005.2.1

少年王者舘 KUDAN Project
「劇終/OSHIMAI〜くだんの件」 (相鉄本多劇場)

2005年2月1日(火)

本来予定していた土曜日は仕事で駄目になり、チケットを友人に譲ったのだが、
最終日の2月1日(火)に何とか見ることが出来た。超満員。天野天街さんの姿は
見かけなかった。相鉄本多劇場って初めて行ったが、すごくわかりにくい場所に
あるな。たどり着くまでにかなりの時間がかかった。

『真夜中の弥次さん喜多さん』と同じく、小熊ヒデジと寺十吾の2人芝居。
ただし弥次喜多と比較すると、残念ながらかなり落ちる。構造や仕掛けがよく
似ているため、新鮮みが薄れたという面もあるだろうが、エンタテインメント
としての面白さでも、テーマの明確さでも、明らかに弥次喜多の方が上だろう。

とは言え、それはあくまでも弥次喜多と比較しての話。天野天街の代表作の
一つが、つまらないはずがない。不条理でナンセンスなギャグの連続。「え?」
と思わず声を上げてしまう仕掛けの数々。失敗やハプニングさえも劇の中で
消化していく役者2人の熱演。見所は十分にある。

そして天街作品につきまとう死の匂いはこの作品でも健在だ。果てることなく
続くナンセンスな夢の繰り返しは『うる星やつら/ビューティフル・ドリーマー』
を想起させる。だが後半になると、その夢の中に死と破滅の匂いが漂い始める。
単なるお笑いは次第に悪夢と化し、いつ果てるともなく続く。しかもその悪夢
から覚めた時、現実の世界にはさらに悲惨な破滅が待っていることを予感させる…
終盤にいたって、この作品が描いているものは、甘酸っぱい『ビューティフル・
ドリーマー』などではなく、果てしない悪夢が続く『オープン・ユア・アイズ』
や、生きていると思った自分の方こそ実は死んでいるのではないかという恐怖
に満ちた『ツィゴイネルワイゼン』に通じる世界なのだということがわかって
くる。

この夢が覚めたら、すなわち劇場を一歩出たら、本当に世界は破滅しているの
ではないか?
自分がさっきまでいたはずの現実も、実はこの芝居の一部と同じ夢に過ぎない
のではないか? 
リアルな世界は、もっともっと悲惨な様相を呈しているのではないか? 

そんな恐怖に背筋が寒くなる。

人間の体に牛の頭が乗った件(くだん)そのものは、ほとんど出てこない。にも
関わらず、確かにこの作品には小松左京の「くだんのはは」と直結する禍々しさ
が漂っている。一見関係ない話を積み重ねながら、ふと気がつくと、凶事を
予知する「件」が、亡霊のように作品世界の真ん中に姿を現している…やはり
見事という他はない。

昨年スズナリでちょっと天街さんとお話しした時の情報によれば、今年は少年
王者舘本体の東京公演はないらしい。せめてこの手の別プロジェクトだけでも
見たいものだが…


(2005年2月初出)

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Tracked on 03/14/2005 at 18:16

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