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03/23/2005

【音楽】ダリル・ホール & ジョン・オーツ 2005.3.20  東京国際フォーラム

2005年3月20日(日) 東京国際フォーラム ホールA


2003年5月の来日公演があまりにも素晴らしかったダリル・ホール&ジョン・オーツ、待望の再来日。彼らのライヴを見るのはこれで3回目になる。最初に見たのは1995年だ。事実上の解散状態にあった頃に、なぜか突然再結成して来日。しかしニューアルバムを出したわけでもなく、一体どういう意味を持つ公演なのか、最後まで不明瞭なまま。3曲目くらいに「アウト・オブ・タッチ」をやって「おお!」と思ったこと以外ほとんど記憶に残っていない、ドサ回り的な印象のライヴだった。

ところが2003年のライヴは、それとはまったく比較にならない素晴らしさ。エンタテインメントとして非の打ち所がない完璧なライヴだった。それだけに今回も最高のライヴになるだろうと期待していた。座席は17列目のど真ん中。前回とほぼ同じ席だ。

結論から言うと、期待は少々裏切られた。良いライヴだったことは間違いないが、ホール&オーツのベストライヴではなかった、というところか。

最大の問題は選曲だ。全18曲中6曲が最新アルバム『アワ・カインド・オブ・ソウル』から。それがすべてアンコール前の本編14曲中に含まれている。3曲目の「マン・オン・ア・ミッション」は前作『ドゥ・イット・フォー・ラヴ』からのシングル曲だが、大ヒット曲とは言えない。「キャント・ストップ・ドリーミング」に至ってはダリルのソロアルバムからのナンバーだ。「サムバディ・ライク・ユー」というのは何に入ってる曲なのかもわからない(少なくともオリジナルアルバムには入っていないようだ)。
結局アンコール前の本編で演奏された代表曲は「マンイーター」「セイ・イット・イズント・ソー」「アイ・キャント・ゴー・フォー・ザット」だけ。あとは初期の名曲「サラ・スマイル」と「シーズ・ゴーン」くらい。しかもそれらが連続せず、チョコチョコと出てくるから爆発的な盛り上がりにならない。

これ、いくら何でもちょっと地味すぎないか?

地味なら地味でもいいのだが、もう少し良い曲順があったのではないかと思う。特に問題なのは1曲目の「マンイーター」。冒頭でいきなりこの大ヒット曲にして大名曲をやって、その後延々と地味な展開に入っていくのはいかがなものか。後からどう思い返しても、「マンイーター」だけがポコリと浮きまくっていた印象だ。最大の切り札とも言える名曲を、あんな形でやってしまうのはもったいなさすぎる。例え曲目自体は同じでも、「マンイーター」が「アイ・キャント・ゴー・フォー・ザット」の前か後に来ていたなら、印象はまったく違っていたはずだ(演奏曲リスト参照)。

その鬱憤を晴らすかのようにアンコールでは「キッス・オン・マイ・リスト」「プライヴェート・アイズ」が連発されるのだが、この展開では、いかにも観客サービスでやっていますという感じがして居心地が悪い。素直に楽しんでよいのだろうか?と余計なことを考えてしまう。これもせめてアンコールを2回に分けず、「アウト・オブ・タッチ」まで3曲ぶっ続けにやって、「ふられた気持ち」で締めていたら、だいぶ印象は違ったのに…

もちろん今回は『アワ・カインド・オブ・ソウル』に伴うツアーであり、あのアルバムからの曲が中心になるのは当然である。自分たちのオリジナルナンバーも、あのアルバムに収録されていたソウルの名曲と馴染みが良い、ちょっと地味だがソウルフルなナンバーを中心に選曲したのもわかる。問題はそれらの曲と、よりポップな定番的ヒット曲の並べ方が悪すぎるのだ。さらに言えば、『アワ・カインド・オブ・ソウル』の中で最も魅力的なナンバー「スタンディング・イン・ザ・シャドウズ・オブ・ラヴ」をやってくれなかったり、大名曲「アウト・オブ・タッチ」の演奏がいささか粗っぽかったり、不満はいろいろとある。

しかし当然の事ながらホール&オーツ。前回に比べればだいぶ落ちるとは言え、そこらの平均的なライヴよりは遙かに高いレヴェルにあり、「音楽の職人」とでも言いたくなる熟練のポップミュージックを聞かせてくれる。
今回特に良かったのはダリル・ホールのヴォーカルだ。のどの調子が悪いのか、あまり声が出ていないところもあったが、調子の良い部分では、思いきりコブシを効かせた、今までにないほどソウルフルな歌声を響かせる。やはり今回のツアーは、誰よりも彼ら自身が楽しんでいるのだろう。


それにしてもこうやって見ていると、ダリル・ホールとジョン・オーツの関係は本当に不思議なものだと思う。例えばサイモン&ガーファンクルであれば、作曲者であり素晴らしいギタリストであるポール・サイモンが音楽的主役であることは明らかだが、アート・ガーファンクルには、サイモンが絶対持ち得ぬもの=天使の歌声がある。それはサイモンの音楽的ヴィジョンを実現するために、どうしても必要なものだ。だから彼らがコンビを組んでいた理由はよくわかる。
ではホール&オーツの二人に、そのような切っても切り離せない補完関係があるのか? 普通に考えれば、ない。クレジットを見る限り、作曲面におけるジョン・オーツの貢献度は少なそうだし、ヴォーカルも大部分がダリルによるものだ。ライヴにおいても、ジョンが目立つような場面は少ない。彼よりも、サックスのチャーリー・デチャントの方が遙かに目立っているくらいだ。
だがステージを見ながら、ダリルの横にジョンがいない光景を思い描いてみる。すると何かが違う。何か大切なものが欠け落ちているという印象を覚える。コーラス部分でジョンの渋い歌声がない場合を想像してみる。急に音楽から芯が抜けたような印象になる。
その正体はよくわからないが、この二人が組むことによって生まれる何かが、間違いなく存在するのだろう。

今回は期待したほどではなかったが、もちろん次の来日にも確実に足を運ぶつもりだ。その日が早く来ることを期待してやまない。


東京国際フォーラム 演奏曲リスト
1. Maneater
2. Let Love Take Control
3. Man On a Mission
4. I'll Be Around
5. Say It Isn't So
6. Soul Violins
7. I Can Dream About You
8. Can't Stop Dreaming
9. She's Gone
10. You Are Everything
11. Somebody Like You
12. Sara Smile
13. I Can't Go For That
14. Without You
encore1
15. Kiss On My List
16. Private Eyes
encore2
17. Out Of Touch
18. You've Lost That Love Feeling


(2005年3月初出)

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Comments

こんばんは。トラックバックありがとうございました。
同じ日に同じ場所で同じ音楽を聴いていたんですね。

私もコンサートの構成には何となく違和感を感じていました。しょっぱなのマンイーターでイケイケ気分から一転、しばらく盛り上がりにかけてしまい、トイレ(?)に行く女性がちらほら居たり、会場から立ち去ってしまった人も居ましたし、実は私も少し眠くなってしまっていました。とにかく、浮いたマンイーターと後半に偏った構成だと感じてしまいました。
最後のアンコール2回も嬉しかったのですが、これって、あらかじめ仕込まれてたのかなぁ、なんて余計なことが脳裏によぎってしまいました。とはいえ、今回なかなか楽しめました。次回にも期待したいと思います!できれば、2003年超えで!(残念ながら2003年のライブは見れなかったので)

ジョンの存在感については、ギターにしても、サポートメンバーの方が目立ってしまっているくらいでしたし、私も妻も、二人でふと考えていたのですが、彼のしっとり感というか、潤滑剤の役割というか、縁の下の力持ちというか、ジョンが全体を融和させて、上手くまとまっているのかな?とか話していました。彼が居なくなったら、やはりおっしゃるとおり、何かがおかしくなりそうです。とても地味に見えるのですが。

Posted by: TAKA | 03/24/2005 at 01:14

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