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03/14/2005

【演劇】風琴工房『機械と音楽』 2005.3.13

風琴工房『機械と音楽』(ザ・スズナリ)


2005年3月13日(日)


前から大いに気にしつつも、どうも嫌な予感がして、実際の観劇に踏み切れなかった風琴工房。今回はグリングの鈴木歩己が出演するのに惹かれて見ることにした。

ロシアアヴァンギャルドと呼ばれる前衛的な芸術運動に夢を託した若き建築家たちの物語。共産主義の理想にも合致するはずの、彼らの先鋭的ヴィジョンが、スターリンの圧政によって踏みにじられていく様が描かれる。


やはり私の勘は正しかった。

作・演出の詩森ろばの「思い」は痛いほどよくわかる。

よくわかるどころか、この作品のテーマも内容も、驚くほど私好みだと言っていい。

だが西暦2005年の今、こんな直球勝負の脚本と演出で、その思いが観客に届くものだろうか?

まあ届く人もいるのだろう。
だが私の両隣の客、とりわけ右隣の女性など全編の半分以上熟睡していたくらいだから、思いが届いた観客の数は、決して多くなかったことが推測できる。
少なくとも私にとっては、テーマがよく理解できる分、語り口の凡庸さばかりが際だつ作品にしか見えなかった。

直球勝負でも、それが凄まじい剛球ならば、いかなる批判も沈黙させてしまうことだろう。そういうい力業は結構好きだ。だがこの作品にそこまでのパワーがあるかと言えば、否と言わざるをえない。
一番いい例が主役の久保田芳之だ。この人はとても魅力的な声を持っているし、本来はきっと優れた役者なのだろう。ところが今回は、驚くほど台詞が入っていない。何度台詞をとちったか数えようがないほどだ。それに釣られたかのごとく、他の役者まで台詞をとちる。つまり役者たちがこの脚本をまったく血肉化していない、口から出てくる言葉が自分の言葉になっていないのだ。ただでさえ生硬な作品が、これではますます硬直したものになってしまう。見ていて無惨なほどだった(ただし鈴木歩己、好宮温太郎、宮嶋美子の3人は水準以上の出来)。

何よりも、この物語を演劇でやる意味が理解できない。小説を何の工夫もなく舞台用に移し替えただけのような脚本で、演劇ならではの魅力がまるで感じられない。これなら小説であれノンフィクションであれ、本の形で読んだ方が遙かに面白そうだ。このあたり、燐光群の『CVR』などと同じ疑問を感じてしまう。


ともかくベターポーヅに続いて、今年2本目の「見なけりゃ良かった」作品。また貴重な金と時間を無駄にしてしまった…


(2005年3月初出)

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