« 【音楽】コートニー・パインを聴け! | Main | 【演劇】風琴工房『機械と音楽』 2005.3.13 »

03/13/2005

【演劇】五反田団『キャベツの類』 2005.3.12

五反田団『キャベツの類』(こまばアゴラ劇場)


2005年3月12日(土)


五反田団を見るのは『ながく吐息』『びんぼう君 21世紀版』に続いて3回目。評判の良かった前作「いやむしろ忘れて草」は仕事で見られなかったが、前にあげた2作品だけでも、五反田団が優れた劇団であることは十分すぎるほどわかった(実際には「劇団」というよりも、前田司郎の妄想を具現化するユニットのようなものだが)。

こまばアゴラ、超満員。10日ほど前に「予約が入ってないので来てください」という憐れみを誘うメールが来ていたが、案の定ウソだった。今や小劇場界の雄となった五反田団に人が集まらないはずはないだろう。それにも関わらずあんないじましいメールを送ってくるところが、いかにも五反田団らしくてよろしい。


舞台セットはいつも通りシンプルで、ほぼ二つのブランコがあるのみ。ただし出演者は7人だからかなり多い?(笑)

『ながく吐息』は「延々と止まらない立ち小便」という奇想天外なモチーフを基にしていたが、凡庸な日常の中にある滑稽さや侘びしさ、哀感をユーモラスなタッチで描くのが、この劇団の基本的な特徴だと思う。
ところが今回は、最初から最後までかなりシュールな展開。記憶がキャベツの形になって頭の外に出てしまった男と、脳内の記憶をアオムシに食べられている妻を中心とした物語。ストーリーから言えば完全なファンタジーであり、今までに見た2作とはだいぶ印象が違う。
だがそんな不条理ファンタジーが、ごく日常的ないじましい光景に見えてくるのが、五反田団の五反田団たる所以。表面的なテイストはかなり変化しているものの、卑近な人間たちの哀感を描く手腕は、今回もぶれがない。

そんな五反田団の世界観を余すところなく体現しているのが主演の黒田大輔。THE SHAMPOO HATの公演でもそうだが、男の情けなさやだらしなさ、その中にほのかに漂う優しさを演じさせたら、この人は天下一品である。
妻役の渡辺香奈もかなりやばい。特に最後の方は、本当に魂が抜けてしまったのかと思うほど。また脇役で「神」の役(何なんだよ、神って)を演じた中川幸子という若い女優、初めて見る人だが、この人が何気で上手かった。最初の傲岸不遜な態度から、次第に哀れさを増していくところは見応えがある。経歴がまったくわからないし、今後の出演予定も未定と書いてあるが、名前を記憶しておこう。


特に素晴らしいのはラストシーン。それまでの展開とあまり関係ないのが欠点と言えば欠点だが、『アルジャーノンに花束を』を彷彿とさせる悲しみと怖さがあり、とりとめのない夢物語を、うまくまとめてはいないが、きれいに終わらせることに成功している。

KUDAN PROJECTの『真夜中の弥次さん喜多さん』『くだんの件』などと比べれば、夢や記憶に関するファンタジーとして、まだまだこなれていない印象は残る。だがこの路線を突き詰めていけば、さらに面白いものが出来る可能性は大いに感じられた。


今日は僕もアオムシになった夢を見ることにしよう。


http://www.uranus.dti.ne.jp/~gotannda/


(2005年3月初出)

|

« 【音楽】コートニー・パインを聴け! | Main | 【演劇】風琴工房『機械と音楽』 2005.3.13 »

Comments

「アルジャーノン・・・」ってなるほどですね~。五反田団、次も楽しみです。

Posted by: しのぶ | 03/13/2005 23:53

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 【演劇】五反田団『キャベツの類』 2005.3.12:

» 五反田団『キャベツの類』03/08-13こまばアゴラ劇場 [しのぶの演劇レビュー]
 五反田団は前作『いやむしろわすれて草』で岸田國士戯曲賞の最終選考まで残った前田... [Read More]

Tracked on 03/13/2005 23:52

» "キャベツの類"の八百屋的レビュー [△ ゾウの猿芝居 ▽]
全くもって、またわけわからないものを観てしまった。 五反田団の"キャベツの類"である。 前作が「いやむしろ忘れて草」だったから、 この作家は、植物的な感性を持っ... [Read More]

Tracked on 03/14/2005 11:13

» 「キャベツの類」 [臭い人]
五反田団第29回公演 「キャベツの類」 作・演出 前田司郎 男・・・黒田大輔 女 [Read More]

Tracked on 03/15/2005 00:11

» 五反田団『キャベツの類』 [デジログからあなろぐ]
急遽、駒場東大のキャンパスに行くことになったので、急遽、駒場アゴラにて五反田団『キャベツの類』を鑑賞してまいりました。 こちらの劇団、今回が初見です・・・前作が... [Read More]

Tracked on 03/15/2005 01:50

« 【音楽】コートニー・パインを聴け! | Main | 【演劇】風琴工房『機械と音楽』 2005.3.13 »